Q1 実は深刻!? 女性の薄毛のお悩みとは?

 近年、毛成長の制御機構に関する研究が進み、男性の男性型脱毛症のメカニズムが次第に解明されつつあります(関連記事「やっぱり病院に行くべき!? 男性型脱毛症(AGA)とその治療」)。

 男性ホルモンの活性を高める酵素を阻害し、毛の成長を維持する内服薬(フェナステリド)も開発され、科学的根拠のある治療が確立されてきました。

 ところが男性の男性型脱毛症は男性ホルモンによる脱毛という決定的な原因があるのに対し、女性の脱毛症は、臨床分類やメカニズムが複雑かつ多様で、治療の開発も遅れていると言わざるを得ません。男性にとっても脱毛は深刻な問題ですが、女性は髪の美しさを自分の内面の美しさとしてとらえる人も多く、脱毛による精神的動揺はより深刻かもしれません。

 女性の脱毛症の臨床分類は大別すると[1]男性型脱毛症、[2]休止期脱毛症、[3]加齢変化、[4]その他となります。

[1]男性型脱毛症

 女性でも、毛成長に関する細胞が男性ホルモンの影響を受けやすい体質だと毛髪の一部の毛が細くなる軟毛化を生じます。父親が男性型脱毛だとその体質を受け継ぎやすいという報告もありますが、症状の発現は男性の男性型脱毛よりも遅く、30歳代以降とされています。

 症状としては生え際の後退を伴わない頭頂部の薄毛が特徴とされています。通常は血液中の男性ホルモンの値は正常範囲内とされていますが、まれに卵巣腫瘍により男性ホルモンが過剰産生され、生理不順、重症なニキビ、体毛の多毛などの症状とともに脱毛症を発症することもあり、婦人科の受診が必要になることもあります。

[2]休止期脱毛

 頭髪には毛周期があり、成長期・移行期・休止期を2~4年周期で繰り返しています。

 正常な毛周期では休止期毛が10%前後で、この休止期毛は洗髪やブラッシングの刺激で抜けるため、1日100本程度の脱毛は正常と考えられています。

 休止期毛の割合が増加して脱毛がすすむことを休止期脱毛といいます。休止期脱毛は、急性と慢性に大別され、慢性ではさらに内臓疾患や薬剤が関連することの多い慢性びまん性休止期脱毛と、中年女性に徐々に生じる慢性休止期脱毛に分けられています。急性休止期脱毛は、精神的ストレス、出産、大量出血、栄養不良、高熱などにより生じるとされています。

[3]加齢変化

 頭部全体で頭髪密度が少なく、髪が細く、伸びが遅く、艶がなくなり休止期脱毛が増加します。これは誰にでも生じる年齢的変化で、更年期後に変化に気づく方が多いようです。

[4]その他

 多発性の円形脱毛、白髪を長年抜いていたために毛の細胞が働きを失って毛が少なくなる、毛染めを繰り返すことで毛髪が痛みボリュームが減る、などがその他の脱毛に含まれます。

現時点で治療の主体は外用療法

 このように女性の脱毛については原因も症状も多様であり診断に難渋することも少なくありません。

 男性の男性型脱毛で推奨されるフェナステリドの内服は、女性には催奇形性があることから不適当とされており、閉経後の女性には効果がないとの報告もあります。治療の主体は現時点では外用療法となります。中でも最もエビデンスレベルが高いとされるのはミノキシジル外用で、本邦でも発売されている1%溶液が最も推奨されています。

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