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 「J・エドガー」と聞いてピンと来る人は多くないに違いない。だが、「ジョン・エドガー・フーヴァー」、もっと言えば「フーヴァー長官」と聞けば、多くの人が「ああ」と思うだろう。本作『J・エドガー』は、FBIの初代長官を務めたフーヴァーの半生を描いた作品だ。

 メガホンを取ったのは、『許されざる者』と『ミリオンダラー・ベイビー』で2度のアカデミー賞監督賞に輝くクリント・イーストウッド。主人公フーヴァーの20代前半から77歳で死ぬまでを演じたのはレオナルド・ディカプリオ。脚本には、アメリカ公民権運動家の故ハーヴィー(ハーヴェイ)・ミルクの半生をショーン・ペン主演で描いた『ミルク』で、アカデミー賞脚本賞に輝いたダスティン・ランス・ブラックと、最強のチームで製作された本作。その魅力を一足先にお伝えしよう。

約50年間でニクソンまで8代の大統領に仕えたFBI長官の2つの面

 フーヴァー長官は1895年生まれ。1924年にFBI長官に任命されて以来、1972年に亡くなるまで、約50年間にわたってカルビン・クーリッジからリチャード・ニクソンに至る8代の大統領に仕えた人物だ。

 いち早く捜査に指紋を採用するなど、近代科学捜査の礎を築き上げていく。その一方で、人の秘密に価値を見出し、大統領を含む国の要人に対し、自らの権力を行使するために、どんな情報でも行使することを厭わなかったと言われている。

 脚本のブラックは「リサーチしたところ、フーヴァーについてはまったく異なる2つの人物像が見えてきた」と語り、「米国民に対する保護と安全のすべてを確立してくれた祖国の英雄」という面と、「さまざまなことを卑怯な手段で行い、祖国にとって脅威となった悪人」の2つの面を併せ持つ人物と口にしている。