米国議会で検討されている違法サイト取り締まり法案(SOPA法案)への抗議のため、Wikimedia Foundationが運営する英語版Wikipedia(ウィキペディア)のサイトが米国時間で1月18日午前0時から翌日の午前0時まで一時閉鎖している。英語版ページは、米国議会などに向けたメッセージに切り替わっている。

一時的閉鎖による抗議

 正確には現在米国議会で、ネット上の違法サイトを取り締まる2つの法案が審議されている。一つはStop Online Piracy Act(SOPA法案)、もう一つはProtect IP Act(PIPA法案)である。これらの法案については昨年から検討されているが(「議論を急ぐべき! 米国の違法コピー防止法案から見える“周回遅れ”の日本」を参照)、その後、海外の違法サイトのみを対象とするなどの修正が加えられた。

 それでも、米国内の検索エンジンやISPに、海外の違法サイトへのアクセスやリンクを遮断する義務を負わす内容になっていることから、ネット企業のイノベーションを阻害し、また国家権力による検閲となりかねないということで、シリコンバレーのネット企業は強い反対を続けている。

一時閉鎖するWikipediaの英語版ページ。米国議会に向けたメッセージなどが掲載された
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 つい数日前、オバマ政権はこの2つの法案の成立に反対する旨を明言しているが、一時的に英語版Wikipediaのサイトを閉鎖することで、ネット企業やネット・ユーザーは法案に反対であるという抗議のメッセージをワシントンに伝えようとしているのである。

 ちなみに、Wikipediaがこうした行動を取るのは今回が初めてではない。昨年10月にイタリア議会がSOPA法案と同様の法案を成立させようとしたときに、イタリア版Wikipediaのサイトを一時的に閉鎖することで抗議の意思を表明している。

 しかし、英語版Wikipediaは毎月4億6000万人もの人が世界中からアクセスしている。ソーシャルニュースの「Reddit」や、技術や文化に関するブログの「BoingBoing」などもWikipediaの抗議に追随することを考えると、一時的閉鎖の影響は今回の方が格段に大きいであろう。

 これまでシリコンバレーのネット企業は、ワシントンでのロビイングや抗議活動など、政治的な活動には比較的無縁であったが、今回、米国で影響力のあるWikipediaがこのように具体的な行動を起こしたというのは、SOPA法案に対する危機感がそれだけ大きいとともに、シリコンバレー自体が中東の民主化などに刺激され、自らも行動を起こすように変化し出したと捉えることができるのではないだろうか。

■変更履歴
Wikipediaの運営者名に誤りがありました。関連箇所を修正いたしました。お詫びして訂正いたします。[2012/01/20 18:15]