2011年年末商戦のプリンター市場は、例年とは大きく異なる動きがみられた。

 主要販売店の販売データを集計している調査会社BCNによると、プリンターの販売が年間で最も集中する12月のメーカー別販売台数シェアは、セイコーエプソンが55.2%に対してキヤノンが29.1%となった。セイコーエプソンが過半数を超える圧倒的なシェアを獲得したのだ。

 昨年12月のシェアは、セイコーエプソンが43.3%に対してキヤノンが45.2%。例年、このように、セイコーエプソンの「カラリオ」と、キヤノンの「ピクサス」が拮抗する市場構造だったのだが、2011年は一転してセイコーエプソンの一人勝ちという状況になった。

 これには大きな理由がある。タイの洪水被害の影響だ。キヤノンの主力製品である「MG6230」などを生産するタイの工場が洪水の影響で操業を停止。生産に遅れが生じ、旺盛な需要に対して十分な数を供給ができなかったのだ。

 キヤノンでは、ちょうど稼働直前となっていたタイの第2工場やベトナム工場へと生産を移管して急きょ対応を図ったが、計画数量には遠く及ばない生産数にとどまった。

 店頭では、タイの洪水被害の影響により、キヤノンのプリンターの入荷日が未定であることを告知。事前に予約をして、キャンセルした場合にも、キャンセル料が不要であることなどを表示して客の理解を求めていた。

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 一人勝ちのセイコーエプソンにもこの影響は飛び火した。

 セイコーエプソンにはタイの洪水被害の影響はなく、予定通りの数量を生産できた。洪水被害が表面化していない2011年9月の新製品の発表時点では、「例年よりも生産台数は多く見積もっている」と、意欲的な姿勢で商戦を迎えようとしていた。それでも商戦の途中からは品薄状態に陥ってしまった。

 キヤノンの主力機種が入荷しない分、セイコーエプソンの主力機種に購入を切り替えた購入者が多かったため、供給が間に合わなかったのだ。

 実際、東京都内の大手量販店では、年末の12月28日にセイコーエプソンの機種を予約したものの、商品入荷の通知がきたのが年明けの1月6日というように、年賀状の印刷には間に合わないタイミングでの入荷となっていたほどだ。キヤノンの品薄は、ライバルであるセイコーエプソンの品薄をも招いたのだ。

キヤノンは主力機種の生産工場が洪水被害で操業を停止。生産に遅れが発生し、シェアを大きく落とした
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洪水被害の直接的な影響はないセイコーエプソンも、キヤノンの品薄の影響で同じく品薄に陥ってしまった
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