キャリア各社のセキュリティ対策

 こうした状況にあることから、最近は、店頭だけでなく、アプリケーション・マーケットでもスマートフォン向けに多くのセキュリティ対策アプリが販売されるようになるなど、スマートフォンのセキュリティ向上に向けた取り組みは進みつつある。

 では、従来、盗難・紛失時の対策を中心に、携帯電話に向けてセキュリティ対策を提供してきたキャリア各社は、スマートフォンのセキュリティに対してどのような取り組みを見せているのだろうか。

 NTTドコモは、セキュリティベンダーの1つ、マカフィーのマルウェア対策サービスを、「ドコモ あんしんスキャン」 としてAndroid端末向けに無料で提供している。ソフトバンクモバイルも、マカフィーのマルウェア対策アプリに加え、危険なWebサイトを検知して知らせる「Internet SagiWall」の利用が可能になる「スマートセキュリティ powered by McAfee」を、月額315円で提供している。

 一方、KDDIは、「マルウエア対策だけはスマートフォンを守りきれない」として、マルウエアやWebサイトなどの脅威を対策するトレンドマイクロのセキュリティ対策アプリと、紛失時のリモートロックなどを実現する3LM社のセキュアプラットフォーム、そしてオペレーターが遠隔で端末を操作し、使い方やトラブル対処などをサポートしてくれるOPTIM社のシステムを、「安心セキュリティパック」として月額315円で提供している。

 筆者も先日、『もしもあの写真がネットにバラまかれたら』(エンターブレイン)という本を執筆し、この中で、スマートフォンに起こり得る脅威と、それに向けた対処について説明している。だがスマートフォンの普及自体がごく最近である上、それに向けたマルウエアも、パソコンと比べ圧倒的に数が少ないことから、まだセキュリティ意識が大きく向上しているという状況には至っていないと感じる。

 しかし、現状を見れば、ITなどの知識を豊富に持たない人でも、「売り場にスマートフォンしかない」などの理由から、今後、スマートフォンを手にすることが大幅に増えると考えられ、スマートフォンのマルウエア感染などが社会問題となる可能性も否定できない。大きな問題が起きる前にも、スマートフォンのセキュリティに対する意識向上策が求められるところだ。

KDDIは、マルウエアやWebの脅威対策に加え、リモートロックや遠隔操作によるサポートなど、総合的なセキュリティサービス「安心セキュリティパック」を提供
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今後携帯電話からスマートフォンに移行するユーザーが増えることから、そうしたユーザーが増えることを見越したセキュリティ意識の向上策が強く求められるところだ
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著 者

佐野 正弘(さの まさひろ)

 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。