太・細2本のミサンガのセットで1100円。うち材料費や経費を除いた576円が作り手に、さらに作り手をサポートする被災企業や被災者に150円近くが支払われ、合計700円以上が被災地に届く仕組みになっている(画像クリックで拡大)

 「環(たまき)」とは、日本古来のブレスレットの呼称。東北の被災地にあった使われない漁網を利用し、それらを手作業で編み込んだ「浜のミサンガ 環」が飛ぶように売れている。6月に発売を開始してからすでに3万個以上を売り上げ、一時は生産が追いつかずに予約待ちが発生したという。

 このミサンガは、東日本大震災の被災地支援を目的とした「三陸に仕事を! プロジェクト」の呼びかけで生まれた。震災から半年あまりがたった今、さまざまな面での環境整備は徐々に進んでいるものの、被災者にとって生きる糧となる「仕事」はまだ十分に得られていないのが現状だ。がれき撤去などの男性向けの力仕事はあっても、仮設住宅や避難所生活の中で高齢の女性でもできるような仕事となると特に難しい。そうしたなか、倉庫に余った魚網を使ってミサンガを作るアイデアが出た。当初は岩手県のごく一部だけで作られ、携わる人も20~30人にすぎなかったが、口コミで賛同者が増え、今では作り手の数も250人を超え、その活動範囲は宮城県にまで広がっている。

 「仮設住宅にはさまざまな場所から人が集まり、お互い見知らぬ者同士であることがほとんどです。そうしたなかで、ミサンガが共通の話題になり、交流のきっかけになっている様子が見受けられます。ミサンガのおかげで、静かだった被災地に笑い声や今後の話をする場が生まれたのです」とプロジェクトの事務局スタッフは語る。

 ミサンガの購入は、同プロジェクトのサイトから。こちらのサイトでは販売数や売上額が確認でき、購入者は自分たちが購入した商品の売り上げが確実に作り手に渡っていることが実感できる仕組みになっている。収入が得られるという経済的な面ばかりでなく、被災地に雇用を創出すると同時に、被災者に生きがいを取り戻すという意味でも、ミサンガの販売は大きな成果をもたらしているようだ。

(文/荒井奈央=アジト)