ふじようちえん園舎完成から4年、英語教室を増築

 「幼稚園選び」のチェックポイントの一つに、建築が入ることはあまりないはずだ。独身の筆者としては想像に過ぎないけれど、清潔感があるか、手入れが行き届いているかどうかなどは気を付けるポイントになるのかもしれない。立派な門構えや園舎であれば、「風格があるな」といった印象くらいは抱くだろう。でも、建物の形や家具を見ただけで、入園した我が子の成長を思い描くのは難しい。それよりも先に、どんな理念・校風か、先生はどんな人かなどが気に掛かるのが普通ではないかと思う。

 東京都立川市にある「ふじようちえん」は、子どもの自主性を引き出す「モンテッソーリ教育」の実践で人気があり、約600人の園児が通う。2007年の建て替えにより、教育方針と深く結び付く園舎が完成した。「建物は子どもを育てる道具だ」という加藤積一園長の考え方をそのまま表し、ドーナツ形の園舎の屋上で力いっぱい走り回る子どもたちの姿からは、園で過ごす時間の楽しさが伝わってくる。建築を含む園全体が持つ雰囲気と園長の掲げる教育の理想が一致することは、毎年入園希望者が押し寄せる人気の理由であると言って間違いないだろう。

「ふじようちえん」園舎を増築棟から見下ろす。園舎、園服、ロゴなどのクリエイティブディレクションを佐藤可士和氏が担当。設計は手塚建築研究所が手掛けた。日本建築学会賞(作品賞)など数々の受賞歴がある(写真:日経アーキテクチュア)
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園舎。外周約180mのドーナツ形プランの建物に、緩やかに区切っただけの保育室を配置している。約600人の園児が通う(写真:日経アーキテクチュア)
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園舎。教具(木製の道具)を用いるモンテッソーリ教育にならい、「行為を誘発する」建築としている。自ら働きかけて使いこなす(写真:日経アーキテクチュア)
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 そのふじようちえんの敷地南端に3月、小学生まで通うことのできる英語塾のための教室が完成した。樹齢50年余りのケヤキに巻き付くように建つ150平米ほどの別棟の施設だ。手描きの楕円を写し取った形のプランの建物半分には、ガラス張りの教室が上下に二つ、もう半分は大きさの異なる床板がらせん階段状に重なる屋外空間になっている。教室から英語の歌声が聞こえてきたかと思えば、休憩時間にはケヤキに抱きかかえられるようにある場所全体を使って遊ぶ園児の笑い声が響く。設計を手掛けたのは園舎と同じく手塚建築研究所だ。

英語教室。ふじようちえんを運営する学校法人みんなのひろばが、敷地内に別棟(増築)として建設した。4月に利用を始めている。送迎バス乗り場と隣接しており、その待合スペースにもなる(写真:吉田 誠)
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