auからiPhoneは発売される?されない?

 さまざまな新モデルの投入が発表されたが、多くの人の関心はやはり「auからiPhoneが発売されるか否か」だろう。9月22日に、KDDIがアップルの新しいiPhoneを発売すると報道されたことから、この点ににわかに注目が集まっているが、KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は今回の発表会においては、ノーコメントという姿勢を貫いていた。またアップルがiPhoneの新製品や国内の販路拡大に関するニュースを発表している訳でもないので、現時点での言及は難しい。

 とはいえ、KDDIを取り巻く環境を考慮するに、iPhoneの投入も考えられなくはない状況にある。先にも触れたが、800MHz帯の再編で、海外モデルでも2GHz・800MHzの双方が利用可能になる上、KDDI自身、海外モデルでもEZメールを利用できる環境を整えるなど、海外端末の導入に積極的な方針を見せ始めている。アップル側の動向を見ても、米国では、KDDIが採用しているCDMA2000方式対応のiPhoneが登場しているのに加え、「iPhoneの提供は1国1キャリアのみ」という制限を撤廃するなど、提供に向けたハードルは以前より低くなっている。

 また、現在、iPhoneを独占販売するソフトバンクモバイル、「Xperia」「GALAXY」などスマートフォンの強いブランド作りに成功したNTTドコモに比べ、KDDIはスマートフォンでまだ確固たるブランド力を構築できていない。今回発表された新製品においても、使い勝手など“質”の面では非常に高い向上が見られるものの、ブランド力という意味では、まだ弱いという印象を受ける。

 それゆえか、KDDIはWindows Phone搭載端末を投入するなどプラットフォームにこだわらない戦略を打ち出すようになっている。そのため、契約純増数で後塵を拝しているKDDIが、強力なブランド力を持つiPhoneの獲得に動くと考えられないこともない。だが、iPhoneを提供するには、アップルが課すとされるさまざまな条件をクリアする必要があるだろうし、かといって、iPhoneに注力する姿勢をとってしまえば、今度はそれ以外のプラットフォームやメーカーとの協業に大きな影響が出てくる可能性があることから、慎重を要するのも事実だ。

 ひとまず現時点で言えることは、本当にKDDIからiPhoneが登場されるかどうかは、何らかの発表があり、真実が判明するまで分からないということである。“auのiPhone”を期待している人にとっては、当分眠れない日々が続くことになるかもしれない。

KDDI田中社長は、iPhoneの発売に関する記者の巧みな質問に対し「ノーコメント」を貫いていた。同社から本当にiPhoneが登場するか否か、現時点での言及は難しい
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著 者

佐野 正弘(さの まさひろ)

 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。