価格はカセットの種類により異なり2650円から(送料別)。名刺入れのほか、キーチェーンを付けた電子マネー入れにも加工可能。ケースごとタッチできるのでかばんに付けると便利だ(マグネットを使用しているため、クレジットカードには適していない)。井上さんもかばんに下げて愛用していたところ、コーヒーショップで60代くらいの男性に「昔、このカセットを使っていましたよ」と声をかけられたとか(画像クリックで拡大)

 カセットテープをリサイクルして作ったカードケースが売れている。販売を手がけるCassette Card Caseの井上良祐さんによると、8月初旬にウェブサイトを開設したところ、8月中旬から注文が殺到し完売に。8月31日に販売を再開した際は1日に4万のアクセスがあったという。

 井上さんは昨年末の掃除中、たまたまカセットが名刺の入るサイズであることに気づき、自分用に名刺入れを作った。「本業はインテリアデザイナーですが、オフィスを音楽プロダクションの中に間借りしているため、周りに音楽関係者が多いんです。試作品を見せたところ、予想以上にみんなが興味を示してくれた上、音楽スタジオのスタッフから、大量のカセットを譲ってもらえたこともあり、周りの薦めからウェブで販売することになりました」と井上さん。

 加工はまず、カセットに付いたねじを外して分解し、中身を削り取る。さらに内側にプラスチックの中敷きを入れ、開閉部分にはマグネットを取りつけて完成だ。不透明な素材で出来ているタイプは基本的にOKだが、本体が透明なタイプは内側を加工した際の傷が見えてしまうのであまりお薦めできないという。実際に開閉してみると、マグネットでしっかり留まるので安心感がある。基本的には井上さんがすべて手作業で行うため、1個にかかる時間は3時間、半月に50個出荷するのがやっとだとか。最近は手持ちのカセットの加工依頼が増えており、車の中でいつも聴いた「My Best」と書かれたカセットや、映画ファンからの依頼で『ブレードランナー』のサントラカセットなどの加工などを手がけた。なかには、「どうしてもSONYのBHFの120分が欲しい」と具体的なリクエストもあり、探すのに苦労することも。また、企業のノベルティとして200個作れないかという依頼もある一方、今はカセットデッキがなくて聴けないが、捨てるには忍びないので使って欲しいとカセットを送ってくれる人もいるそうだ。

 80年代に流行したレタリングを施したものも人気が高い。また縁取りマーカーで丁寧に書かれたものなど、時代が垣間見えるのも魅力だ。「私も母音の文字が足りなくなり、FをEに加工してレタリングしたりしました(笑)。ラジオをエアチェックしたものや、白地や赤、青といったレアなカセットも集まるなど楽しいですね。思い出のカセットをお預かりするので大切に加工しています」と井上さんは話す。

 面白いのは、販売後に購入者から感想のメールがくること。「カセットの思い出話で初対面でも話が弾み、打ち合わせが和やかになった」「佐野元春モデル(前の持ち主がマジックでタイトルを書いたもの)が手に入ってうれしい」「手作り感いっぱいのインデックスに大笑い。自分もよくやっていたなと愛着が湧いた」などの声が寄せられている。商品はカセットを入手した時の状態のまま加工するので、モノによってはケースと手書きの文字のインデックスも付いて送られてくるのも楽しい。あなたも早速お気に入りのカセットを探してみては?

(文/池田明子=フリーエージェント)