クリーンで環境負荷の少ないエネルギー源として注目されている太陽光発電。そのシステムを自宅に導入したいと考えたとき、どのように選べばよいのだろうか。実は、太陽光発電システムは、一般的な家電製品を買うときのように、単にパネルのメーカーや製品のカタログスペックを比べるだけでは分からない“落とし穴”がいろいろある。

 その代表的なスペックが「変換効率」だ。

 「太陽電池の変換効率はあくまでも1つの指標であり、太陽光発電システムの優劣を比較するうえで、あまり意味はありません」。住宅設備コーディネーターとして数多くの導入実績を持ち、太陽光発電システム「見積工場」・「琉球てぃーだ」を運営するグローバル商事の菱田剛志社長は、そう断言する。

 太陽光発電は、太陽の“光エネルギー”を太陽電池によって“電気エネルギー”に変換することで、発電している。このとき、どのくらいの効率で光エネルギーから電気エネルギーに変換できるのか、実験から割り出された数値が「変換効率」である。これが高ければ高いほど太陽電池としての性能も高いと考えがちだが、実はそこが落とし穴だというのだ。

太陽光発電システム「見積工場」を運営する株式会社グローバル商事代表取締役で、住宅設備コーディネーターの菱田剛志

 「変換効率は、照射する光の明るさや時間、温度などの条件を一定に保ったうえで、基準となる面積の太陽電池がどれだけ発電したかを表したもの」。つまり、クルマにたとえるなら、向かい風も坂道も気温も考慮されないベストの状況で得られる「最高速度」のようなものだ。

 「しかし、そんな“一定の環境”が、自然界のどこに存在しますか? 太陽の光の明るさは、刻一刻と変わります。温度も、1日のなかでも変化しますし、季節や場所によっても大きく違ってきます」。そうなると、太陽電池が常に“最高速度”である「変換効率」を発揮し続けることにはならない。

 例えば単結晶シリコン系の太陽電池では、気温が上がると変換効率が著しく低下するという性質がある。そのため、日照量が多く気温が高い8月よりも、日射量は少なくても気温が低い3月の方が実際の発電量が多かったという実験結果もあるほどだ(参照:NTTファシリティーズ『NEDOメガソーラープロジェクト 北杜サイトにおける実証研究』)。

出典:NTTファシリティーズ「NEDOメガソーラープロジェクト 北杜サイトにおける実証研究」より、各種太陽電池における月積算発電量と日照量。(画像クリックで拡大)