これまでの在宅勤務の導入は、IT系や外資系企業、大企業が主体だった。ただここ数年、「メーカー、サービス業、中小企業の導入も増え、業種を問わず、すそ野が広がってきた印象」(日本テレワーク協会)という。今後の課題は、むしろ「せっかく在宅勤務を導入しても、放っておくとまた会社に集まってきてしまうという日本企業特有の傾向を打破すること」にあると、日本テレワーク協会は考えている。

 継続の秘訣とは何なのか。この連載で紹介したパナソニックに勤務する砂川章雄氏(「上司に「CC」で「仕事中」をアピール! 実践者に聞いて分かった在宅勤務のポイント」)や育休を取得したNSSLCサービス勤務の石川大悟氏(「準備は? 職場の反応は? ――イクメン、育休生活で得られた新たな視点」)の事例を通して考えてみると「自己管理(セルフマネジメント)」「効率主義に陥らない評価や価値観」、そして「企業側の環境整備」という3つのポイントが浮かんできた。

スマートなセルフマネジメントの極意は?

 まず重要なのは、セルフマネジメントだろう。砂川氏の場合も、会社が用意した仕組みに加えて、セルフマネジメント・スキルの高さが感じられた。ただどう自己管理していいか分からないという人が少なくないのも現実。日本テレワーク協会では「『在宅勤務アイデア集』~在宅勤務の様々な問題を解決するケーススタディー~」を発行しているが、「在宅勤務時に時間を有効に活用するには?」「仕事と個人のメリハリをつけるには?」といった項目が並んでいる。

 自己管理については、SOHOビジネスのセルフマネジメントを参考にすると良いだろう。コーチングバンクが主催する「SOHOのための勉強会」の代表でもある、タイムマネジメント・コーチ Office Fontana代表の滝井いづみ氏によると、セルフマネジメントでなすべきことは、タイム、ヘルス、メンタルの3つをきちんと管理すること。そのため、たとえSOHOであっても、企業のような就業規則や服務規程を作ると良いとアドバイスする。在宅勤務で、会社の就業ルールがある場合も、自分なりの時間割を作り、ONとOFFのメリハリをつけていくことが、自己管理の基本だ。

 例えば、滝井氏が紹介する時間管理テクニックの一つに「ポモドーロ・テクニック」がある。これはタイマーを使うなどして、25分間仕事に集中し、いったん休むことで集中力をアップするというもの。このようなテクニックはさまざまあるので、自分にあったものを探して試してみるのもいいだろう。在宅勤務なら趣味と実益を兼ねて楽しめる。

Pomodoro Technique(ポモドーロ・テクニック)」25分単位で集中する時間管理術は、このページで読める(画像クリックで拡大)

 在宅勤務を始める前に、タスクシートなどを作って自分が担当している業務内容を整理し、「この作業は在宅のほうが能率があがる」、「これは社外で処理する方が迅速」といったことを、週単位などで仕分けしてから仕事をすれば業務効率も上がる。社内で分析を共有すれば、チームや部下の生産性や相互理解にも貢献できるだろう。