元「広告批評」編集長・河尻亨一氏が、消費者の心を巧みにつかむヒットメーカーたちのコトバから、時代の“ツボ”を探る。
節電の夏、注目のブランドといえば?
夏だ、浴衣だ、節電だ。だからというわけではないが、今回は工芸、アート、ファッションなどあらゆるジャンルの垣根を超え、日本の伝統に進化を加えた作品を生み出し続けているアーティストにお話しいただこう。高橋理子さん(HIROCOLEDGE/アーティスト)だ。
いまや日本はもちろん、世界中から展覧会やイベントに引っ張りだこの高橋さん。彼女が主宰するプロダクトブランド「HIROCOLEDGE」の名を一度くらいは耳にしたことのある方も多いと思う。
着物(浴衣)や手ぬぐい、扇子といった日本のトラディショナルなファッションアイテムはもちろん、ポーチや財布、アクセサリーにクッションカバーなどなど、HIROCOLEDGEが扱うプロダクトの幅は広い。それらを目にして気づくのは、いずれも「円と直線」だけで構成された柄があしらわれていること。いわば、それがHIROCOLEDGEというブランドのアイデンティティになっている。
印象で語ることのリスクを承知であえて言うならば、HIROCOLEDGEのプロダクトシリーズは、いわゆる「和」の衣類や道具に立脚しながらも、現代美術に通じるコンセプチュアルなものを感じさせる。それでいて人を突き放すではなく、身近で親しみやすい佇まいを宿しているのが不思議だ。そこに人気の秘密があるのではないだろうか。
高橋さんがこれまでもっとも力を入れており、HIROCOLEDGEのルーツにもなっているのが着物である。なぜ彼女は着物にこだわるのだろう? その魅力はどこにあるのか? そのあたりの話から聞いてみよう。もちろん、このインタビューにも高橋さんは凛とした浴衣姿で臨んでくれた。
高橋理子(たかはし ひろこ)
東京藝術大学で染織を学び、同大学大学院修士課程修了後、アパレル企業にデザイナーとして勤務。その後、同大学大学院博士課程に再入学。2005年フランス外務省AFAAの招きにより、PARIS CITE INTERNATIONALE DES ARTSでの活動を経て、2006年に株式会社ヒロコレッジを設立。2008年3月、同大学大学院博士課程を修了。博士号(美術)を取得。工芸、ファッション、アートなど、ジャンルの垣根を超えて活動し、日本の伝統に進化を加えた作品を生み出している。ウェブマガジン『OPENERS』や、SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSオリジナルマガジン『ROCKS』にて連載中。
(写真/稲垣 純也)











