30代、40代のビジネスパーソンを中心に、糖尿病や高血圧、メタボ、皮膚トラブルなどについて専門家に解説をしてもらう連載の最初のテーマは、ビジネスパーソンがかかりやすい病気の一つ、糖尿病。2007年の厚生労働省による調査で、糖尿病の疑いのある人が約890万人にも上り、可能性が否定できない人は約1320万人、両者を合わせると約2210万人もの日本人が、そのリスクを背負っていることになる。それでも、「自分のことではないだろう」と思っている人も少なくないだろう。そこで、「糖尿病」とそのリスクについて、国立国際医療研究センター病院 糖尿病・代謝症候群診療部長 野田光彦先生に5回にわたり解説してもらう。第1回目は「糖尿病のリスクと予防」。

 2008年(平成20年)度からメタボリックシンドローム対策に重点を置いた特定健康診査、いわゆる「メタボ健診」が始まりました。その結果、「メタボ健診」実施以前と比較して血糖値や糖尿病に関心や危機感を持つ方が増えたのではないかと思います。

 「メタボ健診」が開始されるに至った背景には、日本の中高年者において、近年、糖尿病や虚血性心疾患、脳血管疾患といった生活習慣病を持つ人の占める割合が増加し、生命や健康寿命(病気や障害のない状態で理想的に高齢期を過ごす寿命)を脅かすと同時に、医療経済への負担も増している現状があります。これら生活習慣病の発症リスクを高める「メタボリックシンドローム」に対して、一次予防として対処しようという政策を踏まえたものが「メタボ健診」です。

 実際、厚生労働省が行った2007年(平成19年)度国民健康・栄養調査の結果によると、糖尿病が強く疑われる人は約890万人、糖尿病の可能性が否定できない人が約1320万人で、合わせて約2210万人が糖尿病に罹患しているかそのハイリスクである可能性が報告されており、糖尿病はいまや日本人の誰もがかかりうる健康リスクとして、避けては通れないものになっています。

 避けて通れないものなのであれば、きちんとリスク管理をすることが大切なのは、仕事でも健康でも同じこと、そのためにはまず病気のことをよく知ることが重要です。

 「彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず」

 ここからは「糖尿病」とそのリスクにどのように向き合っていけばよいか、私たちが発表している研究の知見も踏まえて紹介したいと思います。

参考サイト
■健康日本21
■国立国際医療研究センター糖尿病情報センター 糖尿病とは