「節電の夏」。日本中が避けて通れない、夏本番がいよいよ近づいてきた。一般家庭の消費電力のうち、エアコンが占める割合は少なくない。前回の記事では、エアコンを上手に節電して使うための工夫を紹介した(『エアコンの消費電力を21%削減、その工夫とは?』参照)。今回はさらに一歩踏み込んで、“省エネの達人”を目指すために、そもそもエアコンはどのような仕組みで動いているのか、そこに盛り込まれている最新の省エネ技術とはどんなものかに迫っていく。

 最近のエアコンの省エネ(節電)性能はどれくらい進化しているのか。まず、過去20年のデータを見てみよう。

期間消費電力量(4.0kWクラス)

ダイキン工業調べ(画像クリックで拡大)

 以前と比べて、どれくらい違うのだろうか。

 「15年前のものと比べると、電気代は約半分になっています」

 エアコンの開発を担当するダイキン工業 滋賀製作所空調生産本部商品開発グループの矢野幸正主任技師は言う。矢野氏によれば、15年前の機種と比べると電気代は年間で2万8000円の節約になり、10年使うことを考えると現在の最高機種に買い替えてもおつりがくるという。現実にはエアコンの買い替えサイクルは10年程度なので、もし10年前以上の機種を使っているならば、電気代のコストだけを考えても買い替えメリットはありそうだ。

矢野幸正主任技師

 グラフで目を引くのは、1990年代に消費電力が急降下している点だ。それは「インバーターなど、省エネ技術に飛躍的な進歩があったため」(矢野主任技師)だという。さらに、急速な技術革新が落ち付いて、しばらく経った2000年代の半ばで、もう一度、消費電力がぐんと下がったのはなぜか?

 「改正省エネ法の“トップランナー方式”の影響です」(同氏)。

 1998年6月、「省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)」が改正され、翌年4月から施行された。

 この「改正省エネ法」により、エアコンやテレビ、複写機、冷蔵庫、電子レンジなど、指定された機器の省エネ性能の基準は、商品化されている製品のなかで最も優れた省エネ性能の機器の性能以上にするよう定められた。つまり、トップランナーの省エネ性能が、クリアしなければならない省エネ性能の基準となった。

 この方式により、2004年以降は、それ以前のトップランナーの省エネ性能のクリアが必要条件となり、省エネ性能の向上が加速したという。

 進化するエアコンの技術に迫るために、まずエアコンが空気を冷やしたり温めたりする原理(ヒートポンプの仕組み)をおさらいしておこう。