日経トレンディ

 2011年6月4日発売の日経トレンディ7月号は「ニッポンを元気にするヒット商品」と題し、上半期に売れたもの、年後半に注目の商品を総ざらいする大特集を組んでいる。そのなかで主なテーマにしているものの1つが「震災後の消費動向の変化」だ。ここではさまざまなジャンルの商品について、消費者の意識がどう変化したかを分析する。

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災によって、消費マインドはどのように変わったのか──。日経トレンディネット上で4月上旬と5月上旬にそれぞれ実施したアンケート調査を比較することで、消費者意識の変化を浮き彫りにした。

 「震災前後で消費意識はどう変わりましたか」(回答は1つだけ選択)という問いに対し、震災1カ月後の4月の段階では、「消費意欲が低下した」と回答した人が41.1%を占めたが、5月の段階では20.3%と約21ポイントも低下。代わって、「消費意欲が高まった」が8.5%から18.3%へ、「(消費意欲は)変わらない」が49.4%から60.1%へ、それぞれ約10ポイント上昇した。

 震災直後は、物流や生産そのものに問題が生じた商品が多く、かつ人々が買いだめに走ったため、スーパーやコンビニエンスストアの店頭から、ミネラルウォーターやトイレットペーパーといった日用品からパンや総菜類に至るまで、多くのモノが消えた。その後は被害のあまりの大きさを受けてか、「過大な消費は被災地の人々に申し訳ない」という認識が生じ、主に首都圏を中心に“消費自粛”のムードが広がった。4月にアンケート調査をしたときは、消費者のマインドはまさにこの段階にあったといえる。

震災直後は、棚が空っぽになる小売店が続出した(画像クリックで拡大)

電力不足への対応で、電飾を消すなどの節電営業が行われ、街は暗くなった(画像クリックで拡大)

 しかし、時間が経過するにつれ、過度の自粛は景気を冷え込ませ、被災地の復興にもつながらないという認識が消費者の間に共有化されてきたようだ。多くの消費者の間に、「消費することで被災地の復興に貢献しよう」という機運が盛り上がり、例年同様にヒットする商品も出てきた。

●震災後、消費意欲は回復しつつある

Q.震災前後で消費意識はどう変わりましたか(単一回答)

  4月(%) 5月(%)
消費意欲が高まった 8.5 18.3
変わらない 49.4 60.1
消費意欲が低下した 41.1 20.3
分からない 0.7 1.3
無回答 0.2 0
5月中旬の段階では、2割弱の人々が消費に「より積極的な姿勢」を示し、約6割の人々が「これまでと変わらぬ消費意欲」を示した

調査概要

日経トレンディネット上で無記名のアンケート調査を実施。調査期間は【4月】が4月8日〜15日、【5月】が5月9日〜18日。有効回答(4月:453件、5月:153件)をもとに実態を集計。

 もちろん、震災の影響により、「節電」や「エコ」、それに「備蓄」は、今後の消費を語るうえで重要な潮流となっている。例えば、冷却スプレーや扇風機など、エアコンを使わずに冷涼感を得られるような商品やサービスが続々登場。食料品や衣料品を保管しておく収納用品も売れ行き好調だ。

 トレンディネット上のアンケート調査では、11の商品分野ごとに、「震災後、商品、サービスを今後購入する場合、最も重視する点(キーワード)は何か」を聞いた。すると、消費者が重視する“キーワード”は、商品ごとに大きな違いがあった。今後は、これらのキーワードを意識した商品が消費されていく可能性が高い。

 日経トレンディ7月号(6月4日発売)ではこうした傾向もふまえ、下半期の各業界の動向や売れそうなものについて徹底予測している。本記事の次ページ以降では、商品分野別にアンケートの分析結果を解説していく。