「NO168」は牛乳配達かばんを基にした、25年以上作り続けているロングセラー商品。「NO17E」は最も厚い番手の綿帆布を素材とするトートバッグ。形も製法も昭和初期から変わらない(画像クリックで拡大)

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 「一澤帆布」が創業の地、京都市東山に帰ってきた──。

 兄弟間の相続トラブルなどで製造を中止していた京都の老舗かばんブランド「一澤帆布」が4月6日、2年ぶりに復活した。裁判で勝訴して復帰した先代の三男・一澤信三郎氏が、リュックなどの同ブランド製品の製造販売を再開した。

 一澤帆布は1905年に創業。船の帆に使う厚手の布「帆布」で作ったシンプルなデザインのバッグは実用性、耐久性に優れ、若者のファッションのカジュアル化とともに人気ブランドに成長した。写真や登山、地質調査などのプロ用のカバンとしても根強い支持を受けてきた。

 先代会長だった父親が死去した後、83年から一澤帆布工業の社長を務めていた信三郎氏と、先代の長男・信太郎氏は相続を巡って主張が対立した。2005年、裁判で長男の主張が認められたため信三郎氏は社長を解任され、長男が社長に就いた。一方、一澤帆布工業の職人や取引先は信三郎氏を支持。信三郎氏は2006年、新たに「信三郎帆布」と「信三郎■(かばん)」の2ブランドでかばんの製造販売を開始した。かつての「一澤帆布」のブランドも、かばんのデザインも失い、ゼロからのスタートとなった。

 以前の会社のデザインをそのまま使うことはできなかった。職人たちを含め、社員全員がデザイナーとなって提案する新しいかばんは人気を集め、新ブランドは国際的なブランドへと成長した。