「優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした」。

 そんな宣伝文句を目にしただだけでも心揺さぶられる──。直木賞作家・角田光代が手がけた初の長編サスペンス小説を映画化した『八日目の蝉』は、赤ん坊を誘拐した女と、彼女に育てられた少女。2人が背負ってしまった痛さや切なさを綴った感動作だ。

 本作は前半と後半、2つのパートに分かれて進行していく。前半の主人公は野々宮希和子。物語は、不倫相手の子を宿すも、出産を諦めざるを得なかった希和子が、男が妻との間にもうけた赤ん坊を一目見ようと留守宅に侵入。そのまま赤ん坊を誘拐してしまうところから幕を開ける。

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