T\.MBH「グリマルディ ff」6万円。愛用のペンにサイズを合わせてもらえるセミオーダーと、店頭で購入できる既製品がある。価格はどちらも同じ。注文・問い合わせはhttp://takuya\-mbh\.jp/(画像クリックで拡大)

 万年筆は、高級なものになればなるほど、軸の素材も希少でデリケートになる。そのため、しっかりと軸を保護し、なおかつ出し入れがスムーズな1本差しのペンケースが好まれる傾向にある。中でも、T.MBH(Takuya maid by hand)の「グリマルディ」は、1本4万円を超える価格ながら、5年間で600本以上を売り上げた、高級万年筆用ケースの知るひとぞ知る定番。さらに、去年の暮れから「グリマルディ」をベースに、さらに革をふんだんに使い、ガード力を増した「グリマルディ ff」(6万円)を発売。これが大人気となり、1本ずつ手作りする量産が利かない中で、月に20本の発注を受けているのだ。

 1本6万円のペンケースに、それだけの需要があるのは、他では絶対に手に入らない、革の質と高い技術によって作られた、万年筆のためだけを考えて作られたケースだからだろう。例えば、高級万年筆の軸によく使われるエボナイトは、使わないと白濁してしまうのだが、このケースに入れておけば大丈夫というほど万年筆にフィットする。使用している万年筆に合わせて作ってもらえるセミオーダーならではだ。まるで高級な革靴のような美しい曲線と、コバ(革の小口部分)の磨きの見事さは、一度見てしまうと革製品に詳しくなくても、その魅力が分かってしまうほどの出来。高くても売れている究極のペンケースなのだ。

(文/納富廉邦)