人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中身から美しくということだ。

 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。

 というわけでこの“ビューティフルライフカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

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<コンセプト>
カッコ良くなきゃクルマは売れない

 「ボルボよ、オマエもか」

 私は一瞬、見てはいけないものを見てしまった気がした。とある試乗会で立ち寄ったスウェーデンのイエテボリ空港。ゲートに出る寸前の台上にそれはあった。ボルボ久々の新型ミディアムクラスセダン「S60」。

 驚くくらいにカッコいいのだ。ボルボと言えば、いまだに70年~80年代の超ハコ形スタイルか、それ以降に導入したずんぐりむっくり系の確信犯的ダサさが信条。

 「花より団子」と言うべきか、明らかに実用優先で、特に有名なステーションワゴンは「クルマにラゲッジ」ではなく「ラゲッジにクルマ」が付いているとすら言われたもの。それが新型S60から露骨なスタイル優先ぶり。

 この改革は、実は2年前に出たSUV、ボルボ「XC60」から始まっていたが、同路線が全ラインアップに適用されるかは不明だった。しかし日本で300万円台から始まるこの売れ線セダンと、後に出る「S60」ベースのステーションワゴンも、この新世代の美的デザインを採用することが確定。これはまさに時代の変化を如実に表している。

 「中身がどんなに良くてもカッコ良くなければ売れない」。

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