「これまで博多駅前は時間つぶしに立ち寄る程度で、買い物といえば天神が中心だった。新しい駅ビルがオープンすれば博多駅前が賑やかになると期待している」

 地元のタクシー運転手も待ち望んだJR博多シティが3月3日、JR博多駅に開業した。ショッピングセンター「アミュプラザ博多」と九州初進出の「博多阪急」からなる複合商業施設で、延床面積は約20万平方メートル、営業面積は約10万平方メートル。小売り、飲食店で構成する駅ビルとしては国内最大級の規模を誇る。「博多井筒屋が入っていた旧博多駅ビルの6倍の規模。JRの大規模な駅ビル開発はここ数年、京都、名古屋、札幌で成功しているが、それらに劣らない規模」(博多ターミナルビルの広報担当者)という。

 九州圏では3月12日に全線開業する九州新幹線の経済効果にも期待がかかる。山陽新幹線との直通運転開始で西日本各地との交流が広がることから、福岡の足元商圏のみならず、九州全域、中国、関西、さらにはアジアも含めた広域からの集客を図る考えだ。現在、JR博多駅の1日の平均乗降客数は約34万人。約10万人の来館者数をめざしている。

 新駅ビルは地下1階~10階建てで、「アミュプラザ博多」は地下1階~10階、「博多阪急」は地下1階~8階に入る。各フロアとも直結しており、合わせると1万平方メートル近い面積があるため、かなり広い印象だ。屋上には季節の花々が咲く開放的な庭園が広がり、展望テラスやドッグラン、鉄道神社が設けられているほか、ミニSLも楽しめる。

 核テナントとして「東急ハンズ」とシネマコンプレックス「T・ジョイ博多」も出店。新業態や九州初出店は全館で160以上にものぼる。プレオープン日は開店前に約5000人が並び、開業1週間で約182万人が来館。博多阪急ではプレオープン日とオープン日の2日間で計画比10%増を売り上げるなど、好調な滑り出しを切った。特に九州初上陸の店舗が人気を集めるなど、新駅ビルに対する期待の大きさをうかがわせた。圧倒的な集客力を強みとする駅ビルの登場と九州新幹線の全線開業で博多地区の商業地図がどう塗り変わるか。生き残りを賭ける百貨店の新たな取り組みにも注目が集まっている。

駅ビルとしては国内最大級の規模となる「JR博多シティ」。核テナントには「博多阪急」「東急ハンズ」「T・ジョイ博多」が入る。九州初出店は約160店にのぼる(画像クリックで拡大)