車を保有するトータルコストは?

 ここまでのお話で導き出されたのは、下記の「シンプルな事実」です。

300万円程度の車を保有し、人生を楽しむためのコストは、年間90万円程度である。

 したがって、現在25歳の田中さん夫婦の年金給付が始まる65歳までの40年間、自家用車のある生活を楽しむとすれば、おおよそ【90万円×40年=3600万円】のコストがかかるわけです。

 誤解のないように補足させていただくと、筆者自身は休日にドライブを楽しんでいますし、自家用車の保有を否定するつもりはありません。ただ自家用車のある暮らしを求めるならば、“ちょっとしたマンション”が買えるくらいのコストを覚悟する必要があるという事実は知っておいたほうがよいと思います。

 「週末のショッピングにはクルマが欠かせない」という理由だけで自家用車を購入する方がいますが、もしショッピングのために毎週1万円のタクシー代を使ったとしても、自家用車の保有の半分程度のコストで済んでしまいます(毎月4万円=年間48万円)。

 前回、未来のライフイベント1つずつについて計画的に考えて行こうと決意したはずの田中さん夫婦は、この週末で300万円の車を購入しました。前述の通り、65歳までの間に3600万円の負担が生じるとすると、田中さんの使えるお金は、前回の1億800万円-3600万円=7200万円となります。

 はたして田中さん夫婦の家計は、払うべき税金や社会保険料、それから、未来の住宅費や教育費の負担に耐えられるのでしょうか。

著者

山田英次(やまだ えいじ)

山田英次

ブレインズパートナー有限会社代表取締役、ファイナンシャル・プランナー。
私立麻布高校を卒業し、慶應義塾大学にて国際経営学を専攻。外資系金融機関を経て、独立系金融コンサルティング会社を設立し、現在は主に全国各地で開催される講演会を通じてのアドバイスを精力的にこなす。住宅購入、教育資金、セカンドライフに向けた資産形成など、個人の生活に密着したコンサルティングにおいて、多くの実績があり、幅広く支持されている。URL:http://www.brains-p.com/