「らくらく」から「ユニバーサル」へ、富士通が狙う進化

「これまでの10年は、外へ出ることを考えずに来れた10年だった。だが、もう外へ出なければならない」と語るのは、富士通・モバイルフォン事業本部マーケティング統括部長の松村孝宏氏だ。初めてMWCに出展した同社の狙いは、ずばり商談。「海外で我々のスマートフォンを売るためには、まず海外の携帯電話事業者(キャリア)とやり取りする場が必要になる」(同氏)。日本での商談や出張での商談ではなく、MWCという場を選んだのは、「海外進出に本気であることを、海外のキャリアに見せるため」だ。

富士通・モバイルフォン事業本部マーケティング統括部長の松村孝宏氏(画像クリックで拡大)

 松村氏は、「富士通の強みはスマートフォンの世界でこそフルに生かせる」と考えている。世界のスマートフォンは高機能化、小型化が一気に進み、日本のケータイのほうが優れていると思われていた要素のほとんどを吸収してしまった。だが一方で、他のスマートフォンメーカーがまだあまり取り組んでいない要素として、同氏は「ユニバーサル、防水、セキュリティ」の3つを挙げる。

 特に強調したのは「ユニバーサル」。スマートフォンのユーザー層の広がりに伴い、今後は「スマートフォン“1台持ち”が基本になると同時に、文字の読み取りやすさ、相手の声の聞き取りやすさといった基本的な要素に再びフォーカスが当たり始める」と松村氏は読んでいる。これまでのスマートフォンがあまり重視してこなかった部分だ。そこで生きるのが、富士通のノウハウだという。「富士通の『らくらくホン』シリーズでは、文字が読みにくい、相手の声が聞き取りにくい、操作がしにくいといったユーザーの声に徹底的に応えてきた。このノウハウは、スマートフォンでも必ず生きる。しかも、加齢で生じるこうした悩みには、人種間で大きな違いがない。世界で通用する」(同氏)。

 らくらくホンのスマートフォン版を世界展開するのか、という問いには、「打ち出し方は変えるかもしれない。値段は少し高いが格好いいものとして、まさに『ユニバーサルな』端末として出していきたい」(松村氏)という答え。「いずれにせよ、ユーザーに『これこそ自分のための端末』と思ってもらえるようなものを目指していく」(同氏)。

富士通東芝モバイルコミュニケーションズの防水スマートフォン「REGZA Phone」(T-01C、NTTドコモ。こうしたハイスペックモデルは今後も変わらず手がけていくという(画像クリックで拡大)

富士通が参考出展した2画面アンドロイド端末。上画面にツイッターのタイムラインを表示、下画面にリンク先のウェブサイトを表示、といった使い方をデモしていた(画像クリックで拡大)