ジェイアール西日本伊勢丹は、JR大阪駅「ノースゲートビルディング」に2011年5月4日開業する「JR大阪三越伊勢丹」の概要を発表した。地下2階~地上10階の12層で売り場面積は約5万平方メートル。初年度は売上高550億円、入店客数約3000万人を見込む。

 同社による出店は、14年前に開業したジェイアール京都伊勢丹に続く2店舗目。三越伊勢丹ホールディングスにとっては経営統合後初の新店舗となる。ビル東側にはJR西日本SC開発が運営するファッションビル「ルクア」も同時オープンする(詳しくはこちら)。同社では九州新幹線の全線開通を機に、西日本も含めた広域からの集客を見込んでいる。ただ、ジェイアール京都伊勢丹と商圏がバッティングすることもあり、第一次商圏の東端は高槻市までと想定。競合店との顧客争奪戦は避けられないが、百貨店がこれまで取り込めていなかった客層の獲得を狙う。

 ストアコンセプトは「マイストーリーストア」。顧客一人ひとりの思いに応え、人生の節目ごとに物語(コト)を提供できる百貨店をめざす。JR西日本の持つ集客力に加え、伊勢丹の「ファッション提案力」と三越の「文化・芸術性」を融合。それぞれの強みを結集し、既存の競合店に対抗する考えだ。

「JR大阪三越伊勢丹」は2011年5月4日、JR大阪駅の「ノースゲートビルディング」に開業(画像クリックで拡大)

「日本最激戦区・梅田で“百貨店のあるべき姿”を見せる」

 梅田地区ではすでに3つの百貨店がしのぎを削っている。2012年春に日本最大級の百貨店となる阪急百貨店うめだ本店をはじめ、アダルト層に圧倒的な支持を得る阪神梅田本店、今春の増床オープンで客層がさらに広がる大丸梅田店。いずれも売り場面積でJR大阪三越伊勢丹をしのぐ強豪店だ。

ジェイアール西日本伊勢丹 松井達政社長(画像クリックで拡大)

 日本一の百貨店激戦区となる大阪・梅田への新規出店について、ジェイアール西日本伊勢丹の松井達政社長は「梅田の百貨店のなかでは最も売り場面積が小さく、歴史も固定客もいない。スタート時はかなり厳しいが、北ヤードが徐々に姿を現し、阪急が増床オープンすれば、梅田の魅力がさらにアップする。大きく飛躍する可能性はある」と、街のポテンシャルの高さに期待を寄せた。

 とはいえ、百貨店を取り巻く環境は厳しい。全国の百貨店売上高は昨年10月、32カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じたものの、今年1月には3カ月連続で減少。消費者の生活スタイルや行動が多様化するなか、もはや従来型の百貨店モデルは通用しなくなっている。大丸心斎橋店や三越銀座店、松坂屋銀座店など最近のリニューアルの動きを見ても、百貨店業態が市場からさまざまな改革を突き付けられていることがわかる。

 「厳しい状況にあるのは顧客の期待に応えられていないから。JR大阪三越伊勢丹はその問いに対するひとつの答え。これからの百貨店のあるべき姿を提示できる」と松井社長は胸を張る。グループがめざす百貨店像を一から創り上げた百貨店だけに、その全貌に注目が集まっている。