普段、3台のモバイルノート、MacBook Pro、iPhone 4、iPadという体制で仕事をしている筆者。ファイルは、オンラインストレージの「Dropbox」と「SugarSync」、トレンドマイクロの「SafeSync」で共有している。「ようやく端末に関係なく、原稿が書けるようになった……」と安堵したのもつかの間、「なんだか、ちょっと使いづらい!」と感じる場面に出くわした。

 筆者は、十年来、ジャストシステムの日本語入力システム「ATOK」を愛用している。一昨年からは、1日あたり約10円で最新のATOKが使える「ATOK定額制サービス」(300円/月)に切り替えた。ATOKは、同時に利用しなければ1ライセンスで複数のパソコンにインストールできる(月額版の場合は最大10台)。筆者もWindowsを搭載するモバイルノート3台に入れて使ってきたのだが、持ち出したパソコンによって作業しやすいときと、しにくいときがある。キー配列の違いも関係しているのだが、よく考えるとそれだけではないようだ。

 どのパソコンも同じATOKの入力環境なのに、なぜ違いが生じたのか? 答えは簡単。一発で変換できる語句が、パソコンによって違うからだ。ATOKをはじめとする日本語入力システムは、ユーザーがよく使う語句や言い回しを学習する。使い込んだATOKは、長年連れ添った夫婦のように「これはどう書くんだっけ?」と問いかければ、スッと目的の語句を示してくれる。これが使い始めて間もないと、うまくいかない。「それじゃないよ。それも違う……」とブツブツいいながら、変換候補を探すことになる。「細かい男だ!」と突っ込まれそうだが、大量の文字入力をこなすためには、効率のいい変換が欠かせない。過去2年間の平均キータイプ数(1日にキーボードを押す回数)が、1日約2万5000回(多い日は約9万回)なので、変換に時間がかかることは大幅な時間のロスにつながるのだ。

 ユーザー辞書を手動で同期することも考えたが、仕事以外は無精な性格が災いし、これまで一度もやったことがない。そんなわけで、思いどおりに変換できるのは、4年近く使っているWindows XPのモバイルノート。2番目は1年前に購入したWindows 7のモバイルノート。最下位が仕事に応じてOSをWindows XP、Vista、7へ入れ替える作業用ノートという状況になっていた。

 こうした筆者の不満を一気に解決してくれそう……という期待を込めて待っていたのが、2011年2月10日に発売された「ATOK 2011 for Windows」である。ATOKには以前から、ユーザーが登録した単語やお気に入り文書(メールの署名などの定型文)を同期する「ATOK Sync」という機能があった。2011年版では、さらに「変換候補の学習情報」「確定履歴」「環境設定情報」が同期できる「ATOK Syncアドバンス」へとバージョンアップしている。つまりユーザーごとに違う“変換のクセ”を、ジャストシステムが運営するオンラインストレージ「インターネットディスク」で管理し、複数台のパソコンで共有するわけだ。まさにクラウド時代の日本語入力システムと言える。ATOK 2011は、理想とするマルチな作業環境を提供してくれるのか? 早速、最新版のATOK 2011環境にアップデートし、使い勝手を試してみた。

2011年2月10日に発売されたジャストシステムの「ATOK 2011 for Windows」(ベーシック版は実売価格7880円)。「一太郎2011 創」にも同こんされている(画像クリックで拡大)

筆者が愛用しているのは「ATOK for Windows」のATOK定額制サービス。年間コストは3600円で、一番安く最新のATOKを使い続けられる