「テクノ手芸」(テクノ手芸部/ワークスコーポレーション)3570円。210×210mm・224ページ。電子工作の基礎知識、導電糸の使い方などテクノ手芸に必要なことを基本から解説(画像クリックで拡大)

 理工系の専門書や専門誌を発刊する出版社ワークスコーポレーションから2010年11月に発売された「テクノ手芸」という本が、じわじわと売れている。

 紹介されている作品は、フェルトや布地などの素材と、発光ダイオード(LED)、導電糸などを組み合わせたもの。手を近づけると転ぶキリンのロボット「気を引くために自ら転ぶキリン」や、キツネの形をすると目が光る手袋「まばたきのキツネ」、自分のしっぽを噛むと目が光るへび「へびすけ」など、ユーモラスで温かみがあり、どこか不思議な作品と、その作り方が載っている。これらはアートユニット「テクノ手芸部」(かすやきょうことよしだともふみ)の2人による作品。情報技術などを扱う理工系大学の大学院で知り合った2人が「手芸と電子工作を組み合わせることで専門分野の境界を超えることができるのでは」と、2008年「テクノ手芸部」を結成。以来、作品発表やワークショップを通して、新しいものづくりを紹介している。

 「テクノ手芸」は2人の初めての本。作品集であり、それぞれの作品の作り方を解説したもので、現在までの集大成となっている。内容は電子工作の基礎からマイコンボード「Arduino」の使い方まで、かなり専門的だが、わかりやすくポイントがまとめられている。冒頭の作品紹介の写真もいい。3570円とかなり高価格だが、発売直前にモノづくりのイベント「MAKE: Tokyo Meeting 06」の「テクノ手芸」ブースで先行発売をしたところ、初日早々に売り切れ。翌日も追加を搬入したが夕方には再び売りきれてしまうほどで、反響の大きさに担当編集者も驚いたという。「ここ数年で、電子工作を楽しむ人の裾野が広がっている状況が下地にあるのでは。それに加え、この本がテクノ手芸のおもしろさを伝えることに成功しているのだったらうれしい」(担当編集者)。

(文/桑原恵美子)