キャストや監督が観客にこう声をかける。

 「ミクシィやツイッターに書き込んでください!」

 映画の初日舞台挨拶などで、最近よく見かける光景だ。

 今、映画の宣伝手法が変わろうとしている。その中心にあるのがミクシィやツイッターといったSNSを使うソーシャルメディアだ。今回はこうしたソーシャルメディアが、映画宣伝の場で実際にどのように捉えられているかを、前・後編の2回に分けてレポートしよう。

 その前に押さえておきたいのが、映画宣伝とウェブとの関係についてだ。

映画宣伝における「空中戦」「地上戦」とはなにか。ウェブの存在は?

 通常、宣伝には「空中戦」「地上戦」と呼ばれる2つのタイプがある。選挙戦でいえばテレビで放送される政党のCMが空中戦で、候補者が駅前で行う演説や選挙カーが地上戦ということになる。

 これは映画も同様で、テレビCMや街頭ビジョンなどで流れる予告編は空中戦で、試写会を何度も開催し、口コミで映画の魅力を伝えていくのが地上戦というわけだ。

 口コミは元来、人から人へと伝わっていくもので、意識している人は少ないかもしれないが、劇場公開前に行われる試写会はその代表格。見た人が感動すると、翌日に学校や職場でその感動を伝え、さらに伝え聞いた人が別の人へと伝えていく形で、時間をかけながら徐々に広まってゆくというのが定番だった。だが、その口コミをインターネットの登場が激変させた。

 私にとって、忘れられない出来事の1つが1999年公開の『マトリックス』だ。試写会終了後、インターネットの“掲示板”には「すごかった」「クール!」などといった書き込みが次々と投稿され、一夜にして『マトリックス』の名は日本中に広まったのだ。

 その後、ブログの登場、Web2.0という概念の登場により、インターネットの世界は一方的に情報を発信するものから、受け取り側もまた発信者になるという時代を迎えていった。そうした中で、今、主役となっているのが、冒頭にも記したツイッターやミクシィだということは、どの業界でも同じことだろう。

 ただし映画業界における「口コミ」の影響力の高さは前述の通りで、そのツールとしてソーシャルメディアが重視されていることは言うまでもない。

 今回、宣伝におけるその利用方法などについて、映画宣伝を手がける会社のWeb担当者8人に話を聞いた。前編では、ツイッターを中心に宣伝スタッフの話を5項目に分けてまとめる。