日経トレンディネットでは、「300万人編集会議」というコミュニティサイトをオープンした。これはその時々の旬なテーマについて話し合うネット上の「編集会議」。オープンと同時に開設した特集班のテーマが「手帳術」だ。議論の口火を切るべく、手帳の達人たちがまず集まった。

この座談会の内容について、達人に直接、質問や意見をぶつけてみませんか? 300万人編集会議に専用トピが立ちました。

――12月某日、東京・四ツ谷の某所で手帳術について語り始めた、3人の「手帳の達人」。「文具王」高畑正幸氏、「手帳王子」舘神龍彦氏、「目利きライター」納富廉邦氏。そのマニアックなトークは、同席した編集部員を置き去りにしたまま熱量を増していった。話題はやがて「デジタルの手帳」へと……。

(この記事は座談会の第2回です。第1回はこちら

マニアックな議論はひたすら白熱していく……(画像クリックで拡大)

「なぜ1日の区切りが『0時』ばかりなのか、不思議です」

高畑正幸(たかばたけ・まさゆき)
TVチャンピオン「全国文房具通選手権」(テレビ東京系)で3連覇中で、「文具王」の異名を持つ。現在は文具メーカーに勤務。日経トレンディネットで「文具王・高畑正幸の最新文具ワンダーランド」を連載中

高畑正幸氏(以下、高畑):普通の、形をもってる手帳が怖いのは、やっぱり8年くらい能率手帳ゴールドを使ってきて、来年どうしようといったときに「ほぼ日」に乗り換えにくいというのはありますね。

舘神龍彦氏(以下、舘神):ああ。確かにそうですね。

納富廉邦氏(以下、納富):そうそうそう。

高畑:たぶん形がある手帳だと、8年分がビチッて本棚に並んじゃったときに、換えにくいとかあるじゃないですか。

舘神:確かにそうですね。とくに能率手帳には、30年分の桐製保存箱のオプションがありますからね。あれをやりたい人は乗り換えないでしょうね。

納富:サイズも違うしね。元々、手帳って使い比べが難しいんですよ。

高畑:同時に何冊も書けるほど、暇じゃねえっていう。

納富:だからほぼ日に重点を置いている時は、他の手帳はあんまり使ってない。最近、デジタル手帳の、これって変な言葉ですけど、要はスケジュール管理アプリの原稿を書かなきゃいけなかったんですね。それでずっとアプリをiPhoneに入れて使い比べてると、今度は、それまで使っていた「ほぼ日手帳」には、あんまり書かなくなるんですよ。

高畑:それでいくとデジタル手帳のいいところは、データをそっくりそのまま共有できるから、飽きてきて違うのに変えたときに全部引き継げるじゃないですか。紙の手帳で、そのくらいコピーができたら、誰も困りゃあしないんだけど。

納富:iPhoneからGalaxyに乗り換えても別に大丈夫なわけですよね。データはGoogleカレンダー(註1)とかと同期してるから。デジタルになって、ついに手帳は使い比べることが出来るものになったとも言えますね。

スマートフォンなどの手帳アプリは、大半がGoogleカレンダーと同期できる(画像クリックで拡大)

納富:ただ、デジタル手帳で不思議な点があって。例えば、今年出たラコニックの「24アワーズ」(註2)という手帳、24時間のバーチカル(註3)なんだけど、1日の時間軸が朝8時から翌朝の8時までなんですよ。つまり、この手帳だと朝6時はまだ夜なんです。私はそれに感動したんですけど、そんな極端な時間帯のヤツが果たして翌年出るかどうかわかんないですね(笑)。続いて欲しいですけど。

 で、一方で、iPhone用の電子手帳アプリで、一日の始まりと終わりの時間を自由に設定できるヤツは無いんですよ。起きている時間の範囲を設定出来るのはあるんですけど、夜12時が来たら基本的に次の日になっちゃうんです。

高畑:確かに、1日はここからここまで、という区切りが「0時から0時」じゃないデジタル手帳は、今のところ見あたらないです。できるはずなのに。

納富:デジタル手帳ならできるはずじゃないですか。

舘神:できるできる。だってそれは単なる見せ方の問題だから。

註1 【Googleカレンダー】:Web上のスケジュール管理ツール。最近のデジタル版のスケジュール管理ソフトは、インターネットを経由して、これらのネット上のスケジュール管理ツールと同期するタイプが主流。
註2 【24アワーズ】:ラコニックが発売した、B6横開きの1週間見開きバーチカル型の手帳。独特の判型と、朝8時から翌朝8時までの24時間時間軸のバーティカルが特徴。
註3 【バーチカル型】:バーチカル(垂直)という言葉通り、縦方向の時間軸を使うスケジュール帳のレイアウトの一つ。何時に何がある、といった予定の把握がしやすく、ダブルブッキングが防げるのが特徴。現在、見開き一週間のバーチカル型は、手帳の定番レイアウトになっている。バーチカル型の手帳としては、クオバディスの「エグゼクティブ」や「ビジネス」が有名(参考記事)。「ほぼ日手帳」も1ページ1日のバーチカル型だ。