ノルウェー王室のHPもリニューアル。創立から10年で世界トップになった理由

ブリードのオフィスの様子。見通しのいい空間だ(画像クリックで拡大)

 続いて訪れたのは、世界的に注目されるクリエーター集団、ブリード(Bleed)の事務所だ。

 ブリード(bleed)という一風変わった社名を持つ同社は、ノルウェーのみならず世界トップレベルのグラフィックデザインの集団として、業界では知名度が高い。その活動がまたユニークなのだ。

 創立からわずか10年足らず。スタッフも総勢10人ほどの若手の集団にもかかわらず、世界的な企業やブランドをクライアントに持つ。その業種はさまざまで、エルメス、リーバイスといったファッションブランドからペプシコーラのキャンペーン、お堅いところではドイツの銀行やオスロ・フィルハーモニー管弦楽団などもリストにある。

 クリエーションのベースはグラフィックデザインであるが、仕事の範疇はその垣根を超えて、ホームページの制作や自転車の制作、アート本の出版などもある。同社を立ち上げた中心的な人物二人、ダグ・ソールハウグ(Dag Solhaug)とスヴァイン・ホーコン・リーア(Svein Haakon Lia)さんとも話をした。

ブリードの設立メンバーの2人と。筆者の右はダグ・ソールハウグ(Dag Solhaug)さんで、左がスヴァイン・ホーコン・リーア(Svein Haakon Lia)さん。ともにクリエイティブディレクターだ。世界の企業からひっぱりだこ(画像クリックで拡大)

 「われわれがデザインするのは、グラフィックだけではありません。例えば、ビジュアル言語やメディア、店舗デザインや企業のブランディングなども含まれます。その意味では、未来へむけたアートやカルチャーも仕事の範疇だと思っています」(ソールハウグさん/クリエイティブディレクター)。

 その活動は、21世紀における新たなコミュニケーションデザインの形態としても注目されている。直近の活動では、ノルウェー王室のHPの全面リニューアルの仕事をコンペで勝ち取った。王室に対して描く既成概念や枠組みを超えて、今を生きるモダンな空気を見事に伝える内容に、高い評価がなされている。

 既存のビジネスモデルが大きく崩れる広告業界にあって、彼らの活動形態は一つの福音というか、起爆剤だと思うのは筆者だけではないはずだ。

 彼らのデザイン感覚や新たなビジネスモデルの構築の素地となっているのは、やはりノルウェーという国が今現在持っている、フロンティアスピリッツなのであろう。