元「広告批評」編集長・河尻亨一氏が、消費者の心を巧みにつかむヒットメーカーたちのコトバから、時代の“ツボ”を探る。インタビュー&レビューの「ハイブリッドスタイル」で、“テック”な現代のトレンドをディープに読み解いていく。

書道ブームの深層に迫る

 ここ数年、書道がひそかなブームになっているようだ。それも比較的若い人たちの間で。

 今年はマンガ「とめはねっ! 鈴里高校書道部」のテレビドラマや映画「書道ガールズ!! -わたしたちの甲子園-」がブームをさらに盛り上げた。人気書道家や彼らのパフォーマンスがメディアに取り上げられる機会も以前にまして多いように思う。

 実際、ここ20年減り続けていた書道人口は、2009年に増加に転じたらしい。2008年の約360万人から、翌年には約660万人になったとする調査データさえある(「レジャー白書 2010」)。これはさすがに増えすぎのため、どれくらい正確な数値なのかはわからないが、鑑賞を趣味とする人も含めると、書の愛好家が増加傾向にあるのは間違いなさそうだ。

 それにしても、「いま、なぜ、書道……?」なのかが気になるところ。2010年のいま、みんな書に何を求めているのだろう? 書をたしなむと、どんな“いいこと”があるのか?

 そこで今回は、書道家でありながら“空間カリグラフィーデザイナー”として注目を集める中塚翠涛(なかつか・すいとう)さんに話を聞いた。

中塚翠涛(なかつか すいとう)
岡山県倉敷市出身。4歳から書を学ぶ。大東文化大学文学部中国文学科(現・中国学科)在学中から、読売書法会常任理事の高木聖雨氏に師事。現在、空間を書でデザインするという独自のスタイルを確立させ、国内外の商業空間や住宅、旅館、ホテルなど多種多様な空間デザイン、プロダクトデザインなどを手がけている

(写真/竹井俊晴)