今週の1冊
『日経エンタテインメント!』のBOOK担当が、「トレンド」や「エンタメ」目線で今おさえておきたい1冊を毎週紹介していきます。
『ゲゲゲの女房 人生は……終わりよければ、すべてよし!!』
武良布枝
実業之日本社/1260円
現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』。平均視聴率18%と、朝ドラでは高く、20%超えの回も出るなどうなぎのぼりに数字を上げている。『ゲゲゲの鬼太郎』の生みの親、マンガ家水木しげると、妻・武良布枝の夫婦の半生を描く。11月には、宮藤官九郎×吹石一恵のキャストで映画版の公開が控える。その原案となったのが、妻・布枝さんが描いた自伝的エッセーだ。
親が決めたお見合いから5日後に結婚、と現代では考えられない縁で夫婦となった2人。原稿料もまともに受け取れなかった売れないマンガ家時代の水木氏の様子、粉ミルク代が払えなくなった極貧時代、水木氏のユーモラスな言動や行動、『悪魔くん』『ゲゲゲの鬼太郎』が大ヒットする経緯…など、水木しげるの人生が妻の目線でつづられる。水木氏の人柄や、プライベートが別の角度から分かるのはもちろん、文章の節々から、著者がとても慎み深く芯のしっかりした女性ということが伝わってくる。
著者は、「すべて受け入れるだけ」の、古い日本女性の生き方を地で生きたような生き方だ。でもだからこそ、著者のあとがきの言葉が深く、身につまされる。
「最初に盛り上がった恋愛感情だけで、その後の人生すべてが幸福になるとは、とても思えません。伴侶とともに歩んでいく過程で、お互いが「信頼関係」を築いていけるかどうかにこそ、すべてがかかっていると思うのです。(中略) どんな生き方をしても、最初から最後まで順風満帆の人生なんてあり得ないのではないでしょうか。人生は入口で決まるのではなく、選んだ道で「どう生きていくか」なんだろうと、私は思います」
恋愛至上主義で運命の相手とのゴールを説く「結婚」。「受験」「就職」など、入口で落ちこぼれてしまうと切り捨てられる風潮のある現代。今だから、古風で温かい夫婦の物語が受け入れられているのかもしれない。自分の生き方を見つめる、現代人の生き方本としてもオススメしたい。
◆クロスエンタテインメント――この作品に共感した人は楽しめる!
マンガ『バクマン。』
(作・大場つぐみ、漫画・小畑健)
マンガ家の日常を題材にした「漫画家マンガ」の一種。なかでも『バクマン。』は、今最も注目を集めている作品だ。
「『週刊少年ジャンプ』で大ヒットマンガを描いてアニメ化」を目指す、真城最高(サイコー)、高木秋人(シュージン)の中学の同級生コンビが、困難を乗り越えながらマンガ執筆活動を続けていくという物語。『バクマン。』ではリアルな現代マンガ家たちの生き様が描かれている。『ゲゲゲの女房』と時代は違えども、「マンガ家の持つアツい魂」は同じだ。
(文/平山 ゆりの)











