婚活の甲斐あってめでたく結婚となれば、花嫁衣装に袖を通すのは一生に一度のチャンス(たぶん)。その晴れ舞台の衣装に変化が起きている。「昔、母親が着たウェディングドレスをリフォームする」再利用が、1年ほど前から急増しているというのだ。早い話、ユーズド(古着)である。みんな、この不況でケチってるの?

「母親の昔のドレスを堂々と着てもいいんだ!」と目覚める

 不況対策に財布の口をしめる節約派が増えた。結婚式も、「08年の前半までは2億円以上の『宇宙ウェディング』に問合せが入るなど、豪華志向が目立っていた。それが1年ほど前からは、予算抑えめの傾向が強まって」いるーーそんな結婚式プロデュース会社の話を、昨年10月、日経新聞(2009.10.31「エコ婚」)で紹介している。

 記事で伝えられた「結婚式の予算抑えめの傾向」が強まり始めたという2008年秋(まさにリーマンショック)から、2009年にかけて、今回取材に訪ねたウェディングドレスのオーダー店「プチレダ」(東京・麻布十番)でも歩調を合わせるような変化が起きていた。ちょうどその頃から、「母親が25~30年前に着たウェディングドレスを、娘の結婚式用に仕立て直す」注文が急に増え始めたというのだ。

 するとしても人生で一度きり(たぶん)の結婚式に、母親のウェディングドレスのお古を娘が着る。なぜか?

 プチレダの阿部緑代表は「節約志向やエコ意識の高まりも多少あるのでは」と話す。「利用客のほとんどが東京在住」という地域性によるのかもしれないと前置きしながらも、「招待客の数も以前は70~80名だったのが、今は会社関係を省いて40~50名という方が多い。不景気だから結婚式やパーティーをやめる、とはならないけれど、予算や内容が変化している。新婦のドレスもお友だちから借りたり、安いドレスを買って自分でアレンジしたり。定価で買わなくても新品でなくてもいい。そういう変化の中で、おかあさまのドレスをお嬢さまが着るようになったのではないでしょうか」。

 背景には、負担軽減にしろ手作りのこだわりにしろ、花嫁衣装にも“マイウェイ”を是とする意識変化があるだろう。そして、特に「母親の昔のドレスをむしろ堂々と着ていいんだ」と目覚めるきっかけになったと思われるのが「芸能人の例」だ。

 歌手の故・坂本九さんと女優の柏木由起子さんの長女、大島花子さんが「お嫁入りに母親のウェディングドレスを着た」(2006年12月結婚)とメディアに紹介され、プチレダに“母娘ライン”のオーダーが増え始めたのも「それ以降といえばそれ以降」(阿部代表)という。

昭和62年オープンの「プチレダ」(東京・麻布十番)。平成5年頃から一般のウェディングドレスのオーダーを手がける。受注件数は、現在フルオーダー(25万円~)が月1~2件、リフォーム(7万円~)が月10件前後。以前に比べフルオーダーが減り、リフォーム件数が増えているそうだ(画像クリックで拡大)

店を撮ろうとカメラを向けていると、犬にカサをさしかけて散歩させている方が通っていきました(画像クリックで拡大)

 そもそも“母親の昔のウェディングドレス”ってどんなドレスなのか?