必要な道具は常に準備して撮影することが大切

 一方、Sプロデューサーはカミさんに内緒で購入したカメラで、あちこち走り回りながらこの虹を撮ろうとする。モニターをのぞくたびに首をかしげるところをみると、満足いく写真は撮れていそうにもなかった。彼はもどかしそうに「色がくすんでいるなあ……確かに見た目はこんな感じなんだけど……。レンズも変えて、寄ったり引いたりしたんだけど、どうもそういうことじゃないみたい。わあ!という今の気持ちが、写真にするとぜんぜん表れてこないんですよ」とぼやいている。

Sプロデューサーが撮影した虹。普通に撮ればこうなるが、いまひとつ見た目の印象が薄い。確かに虹が出ていた状況は理解できるが、Sプロデューサーは「もっとドラマチックに撮りたいのに……」とぼやく。次のページの豊田さんが撮影した虹と比べれば、その違いがよく理解できるはず(画像クリックで拡大)

 Sプロデューサーの写真に、いまひとつはっきりと虹が写らないのは、偏光(PL)フィルターを使っていないからだ。虹は、人間の目によく見えても、カメラを通すとどうしてもはっきりとしなくなるもの。それはそうだ。まるで幻のように現れて、幻のようにぼんやりとしたものなのだから。

 そんな時に使うのが偏光フィルターだ。不要な光線をカットして、色彩コントラストを高める効果がある。特に2枚のフィルターを回転させることでさらに効果の得られる円偏光フィルター(サーキュラータイプ)を使うといいだろう。ひとつ1万円前後するやや高価なフィルターだが、用意しておくと色のメリハリのある作品が撮れるようになる。

豊田さんを入れつつ、虹を撮影してみたSプロデューサーの写真。がんばれー(画像クリックで拡大)

 それ以外に、まず朝など暗い時間帯の撮影は、三脚は必携。そしてリモートスイッチ(レリーズ)も。ボクは日の出前から、キヤノンの「EOS 7D」のボディをジッツォーのカーボン三脚に固定し、さらに虹が出た際には素早くPLフィルターを用意し、冷静沈着にこの大パノラマの一部始終を撮影した。

 人間が作ったレインボーブリッジと、鹿児島の空がもたらしてくれた正真正銘のレインボー。この“虹の二乗”ともいえる奇跡的な大スペクタクルは、僕たち全員の気持ちが呼んだ、まさにこころの結晶の姿だったのかもしれない。

「まだまだ、勉強しないとなあ」と反省するSプロデューサー