経営再建中の日本航空(JAL)が、撤退する地方路線を次々と決定している。2010年3月末をもって撤退する路線のうち、松本-札幌線、松本-福岡線と静岡-福岡線を引き継ぐことを表明しているのが、静岡空港を拠点とする新しい航空会社「フジドリームエアラインズ(FDA)」だ。大手航空会社が経営の効率化を余儀なくされている今、こうした地域航空会社の役割に期待が集まっている。

  FDAは、07年に地元に本社を置く物流大手の鈴与が、09年6月の静岡空港開港に合わせて設立した。静岡にはこれまで空の玄関口がなく、ビジネスや行楽の主な交通手段は自動車か列車。静岡空港から福岡や札幌などへの定期便が増えれば日帰りも可能になるため需要は確実にある。地方と地方をつなげば大都市への一極集中も緩和され、地域の活性化にもつながる。こうしたニーズに応えようというわけだ。JALの松本線を引き継ぐ意向を決めたのも趣旨は同じだ。JALの松本-札幌線、松本-福岡線の搭乗率は、それぞれ約80%、約62%と低い水準ではあったが、それでも定期便がまったくなくなってしまえば、不便を強いられる地元住民は確実にいる。

 日本では、旅客航空事業への新規参入は難しいと言われている。実際、航空自由化以降参入した航空会社の多くが苦戦した。だがそれは羽田発着を中心とした大都市間輸送の話だ。FDAは、地方都市間を小型機で結ぶ「地域航空会社」。大型機や中型機では採算のとりにくい路線や、多頻度運航の難しい路線を小回りのきく小型機で結ぶ。JALやANAなどの大手とは競合しない。地元空港を拠点としているため、乗客の利便性の高い時間に発着できる。

 FDAは航空事業参入にあたって、エンブラエル社製のERL170を3機発注した。この最新鋭ジェットは燃費のいい76人乗りの小型機。地元住民に愛着を持ってもらえるよう、機体の色は地元の公募で決めた。運賃は新幹線や特急の乗り継ぎと比較しても決して安くはないが、利便性を考慮すれば十分にその価値はあるかもしれない。約55分で結ぶ静岡-小松間は最も安い運賃で1万3000円。現在は、静岡-小松線を1日2往復、静岡-鹿児島線、静岡-福岡線を1日1往復しているが、将来的には東アジアなど近距離の国際線への参入も視野に入れている。

  実は日本国内には、定期旅客便を運航している航空会社が20以上もある。高需要路線は持たずに、それぞれの地域の足として地方路線を運行する地域航空会社を取り巻く環境は、地方景気の悪化や人口減少などにより順風満帆とはいえないが、今まで以上に新たな役割を求められることになりそうだ。


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静岡空港を拠点として2009年6月に、物流大手の鈴与によって設立された。1号機が赤、2号機がライトブルー、10年1月に導入予定の3号機はピンクと、色鮮やかな機体が特徴。10年4月からはJALが撤退した静岡-福岡線と松本空港発着の2路線を継承するほか、仙台、富山、新潟、成田等への運航も検討中。将来的には近距離国際線の運航も視野に入れている。

・拠点空港:静岡
・就航都市:静岡、小松、熊本、鹿児島
・使用機材:エンブラエルERJ170


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1999年にフェアリンクとして設立。2000年に関西-仙台線を初めて運航した。04年に現社名に変更、筆頭株主である日本デジタル研究所が発売するソフトウェアのブランド名を冠した。ANAと提携関係にあり成田発着の国内線ネットワークを補完。ANAマイレージクラブにも加盟している。

・拠点空港:成田、伊丹、仙台
・就航都市:札幌、仙台、福島、成田、小松、大阪、広島、福岡
・使用機材:ボンバルディアCRJ100(2機)、ボンバルディアCRJ200(2機)、ボンバルディアCRJ700NG(1機)


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1961年に第3セクターとして設立された長崎航空が、2001年に社名を変更。長崎と壱岐や五島列島などの離島を結ぶコミューター輸送が中心だったが、現在は鹿児島や福岡へも就航。09年11月からは全便がANAとの共同運航となり、ANAの予約販売システムを利用している。

・拠点空港:長崎空港
・就航都市:長崎、壱岐、福江、対馬、鹿児島、福岡
・使用機材:ボンバルディアDHC-8-Q200


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1998年に熊本県や天草郡などが出資する第3セクターとして設立。2000年の天草空港開港と同時に天草-福岡線と天草-熊本線を運航。天草の小学生が描いたイルカがデザインされた機体も特徴的。

・拠点空港:天草空港
・就航都市:天草、福岡、熊本、神戸
・使用機材:ボンバルデイアDHC-8-103


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1978年に設立。橋梁大手の建設会社川田工業の子会社。調布飛行場を拠点に、大島や神津島など伊豆諸島への定期便を運航するほか、茨城県の竜ケ崎飛行場、松本空港を拠点に遊覧飛行やチャーター、写真撮影飛行も行っている。

・拠点空港:調布飛行場
・就航都市:調布、大島、新島、神津島
・使用機材:ドルニエ228


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新中央航空と同じく川田工業の子会社で、ヘリコプターによる建設資材輸送、測量飛行、山岳地域への物資輸送などを展開。東京都島しょ振興公社の支援を受けて、伊豆諸島の離島住民の足として定期便「東京愛らんどシャトル」を運航している。

・拠点空港:八丈島空港
・就航都市:八丈島、大島、三宅島、御蔵島、青ヶ島、利島
・使用機材:シコルスキーS76C+、S76C++