日本初のカプセルホテルが大阪に開業したのは1979年のこと。それから30年。カプセルホテルといえば、“どうせ寝るだけだから”とか、“金もないし今夜はカプセルで我慢しておこう”とか、どうも積極的に利用するのではない宿泊施設という、ネガティブなイメージが強くなってしまったように思われる。そんななか、12月9日に従来のイメージを一新するようなカプセルホテルが京都にできると聞き、一足早く体験した。

 そのホテルは、「9h(ナインアワーズ)」。9hというネーミングは「汗を洗い流す」「眠る」「身支度する」という宿泊施設を利用する際に、最低限欠かせない3つの行為にかかる所要時間をそれぞれ1時間、7時間、1時間と見積もり、それを合計した時間からとられている。その名が表す通り、9hはこの3つの機能だけに大胆に絞り込んだ宿泊施設だ。

「9h(ナインアワーズ)」京都寺町店の正面外観。真っ白な内装の1階が夜の街に浮かぶ。建物にカプセルホテルを示す看板はなく、「この建物、何?」と怪訝そうにのぞきながら通り過ぎる人が多かった。(C)Nacasa & Partners(画像クリックで拡大)

有名プロダクトデザイナーを起用
“デザインカプセルホテル”の実力は?

 同ホテルを運営するキュービックは、東京・秋葉原でカプセルホテルを長年経営していた会社。「蓄積してきた運営ノウハウを活かしたうえで、全く新しいカプセルホテルを作りたい」と、2代目の油井啓祐社長が起用したのが建築家でもインテリアデザイナーでもなく、プロダクトデザイナーの柴田文江氏だった。彼女をクリエイティブディレクターに、サイン&グラフィックデザインに廣村正彰氏、インテリアデザインに中村隆秋氏という気鋭のデザイナーによるチームを作り、数字の書体からカプセル本体までこのホテルのためにイチからつくるというこだわりで完成させた。

 去る8月には、東京・六本木のアクシスギャラリーでカプセルユニットやアメニティグッズを展示する「ナインアワーズ展」を開催。開業前から特に建築・デザイン関係を中心に高い関心を集め、海外メディアの取材もすでにいくつも受けているという。

 さしずめ、業界大注目の“デザイナーズカプセルホテル”といったところだ。たしかにデザインの力が、カプセルホテルをどう新生させたのかは興味がある。しかし、デザインどうこうよりも、まず、カプセルホテルとして使えるか使えないかが問題。あくまでもビジネスパーソンの実用重視でチェックするつもりで今回は乗り込んだ。