今回メタル斬りするのは、今年メジャーデビューした「彩冷える」「S.R.S」、そして20周年を迎えた「東京スカパラダイスオーケストラ」の3組。キャリアの違う3バンドのうち、マーティが一番気に入ったのは? また、現在発売中の「日経エンタテインメント!」12月号(表紙・佐々木希)では「B’z」「flumpool」「Peaky SALT」を分析しています。こちらもどうぞ。

 一時期と比べるとブームが下火になったと言われていた「ビジュアル系」だけど、ここ数年の間でまた、いい新人バンドが続々とメジャーデビューしてるよね。中でも、僕が今いちばん注目しているビジュアル系バンドは、今年の5月にメジャーデビューした彩冷える-ayabie-です。ちなみに、ひらがなの「る」は読まないんだって。ややこしいけど面白いね。

 ビジュアル系のイメージっていうと、これまでだとDir en Grayやムックみたいな、ダークでメタルっぽいサウンドを思い浮かべる人が多いと思います。ところが、この彩冷えるが8月にリリースした『夏物語』は、曲全体の雰囲気だけだったら「これ、Kinki Kidsの新曲?」って思っちゃうくらい超ハッピーで、さわやかな曲なんだよ。そもそも『夏物語』っていうタイトルからして、ビジュアル系っていうよりはチューブとかサザンの曲名みたいで、そのギャップがいい意味で面白いじゃん。

彩冷える
『夏物語』
今年5月にメジャーデビューした5人組。「J-POPではオクターブ違いのフレーズを1度に押さえて1本のギターで弾くことが多いんだけど、この曲の間奏の頭は、2本のギターで別々に弾いているみたいだね。複雑なフレーズも弾けるし、クリーンな味が出るから、僕も好きなテクニックです」。

 この曲は、ぱっと聴いたら普通にハッピーなポップソングのようで、じっくり聴き込んでみると、実はすごくコテコテに作り込まれています。以前に分析した福山雅治さんのKOH+のプロデュース術に通じるところがあって、細かいところをすごくマニアックに作り込んでるんだよ。

 例えば、アカペラ風のコーラスで始まるイントロなんて、僕が尊敬しているビーチ・ボーイズや今井美樹さんの『PRIDE』のイントロみたいで、曲が始まった瞬間に一気に吸い込まれそうになります。曲全体の建築もどんどん転調を重ねていく作りになってるから飽きないし、特にラストのサビなんて、大爆発みたいに超ビッグな転調じゃん。一歩間違うと安っぽく聴こえちゃう技だけど、転調大好きの僕にとっては超ツボのど真ん中でした。

 各メンバーの演奏もすごくタイトで、まるでベテランのセッションミュージシャンが演奏しているような大人っぽさを感じます。ビジュアル系には興味がないっていう人も、ぜひ一度聴いてみてほしいな。