見た目がグロテスクなホルモン、その源をたどれば箸を持つ指先にも勇気を要する。多様な食感と味わいを秘めたホルモンに目覚め、“肉食ホルモンヌ”のケモノのような舌と胃袋は未知の悦びにハマっていくのか。もともと内臓肉は“放るもん”。どんな状態で仕入れ、どんな仕込みをするのか。「牛1頭の小腸」って、一体、何人前なの? 東京・亀戸の人気店、「ホルモン青木」の調理場を訪ねた。

※本編は、「ホルモンヌ」後編です。初めてご覧になる方は、前編の「そもそもホルモンヌとは?」からお読みになることをお勧めします。

「ナマ肉は食中毒の危険性も。体の強い人でないと勧められない」

 女性客がなんと5割を占めるホルモン屋を前編で紹介したが、この1~2年のブームでホルモン愛好者が急増している。「特に女性はナマが好きだね。体は強いのかな」。こう話すのは、東京・亀戸のホルモン屋、「ホルモン青木」の杉江店長だ。「ナマは体の強い人でないと勧められない。必ず加熱して食べましょう、というのが保健所の指導です」という。

 「ナマで食べさせるのは法的に違反ではないが、お客さんと確認を取ってやってくださいね、ということなんです。食中毒の危険性が高いので、店側もリスクを抱えながら営業しています。テーブルに出したら長い時間をおかず、すぐに食べてもらいたいし、体の弱い人や子ども、お年寄りには食べてほしくない。絶対安全とは言い切れないんですね」(同)。

「ホルモン青木」の店長、杉江和実さん(画像クリックで拡大)

牛のナマの肝臓、「レバ刺し」。たれの容器は2段重ねになっていて、上段がごま油と塩、下段がニンニクしょうゆ(画像クリックで拡大)

「荷物が届くので見にきたらどうですか」

 それで内臓肉はどういう状態のものを仕入れるんですか。すっかり洗われた状態? 「残っているものもあります。糞便とか毛がついていたり。汚れていれば洗うし取り除く」(同)。ホルモンは下処理が味を左右するそうですね。「臭みを抜くのに少し湯通ししたり、洗うときに小麦粉やお酢、塩を使うという話も聞く。お店にもよるし状態にもよります。ただあまり手間がかかると私たちに嫌われるので、業者もある程度きれいに洗浄したものを持ってきてくれると思う」(同)。

 そして「荷物が届くので見にきたらどうですか」と言われる。

 荷物とは「内臓をパーツごとにビニール袋に入れたもの」とのこと。東京都中央卸売食肉市場(PDF)にある「芝浦と場(じょう)」では月曜から金曜にと畜業務があり(※と場の営業日は都道府県によって異なる)、そこに出入りする食肉業者が注文を受けた品の配達に回るので、「なんならそのとき業者さんにも話を聞いたらどうですか」とも言われる。

 そこで10月半ば平日の午後、配達の時間に再び「ホルモン青木」を訪ねることにした。

「ホルモン青木」1号店(画像クリックで拡大)