今年に入り、ホルモンにハマる若い女性が急増している。明るいうちから店先に列をなし、もうもうと煙を上げる七輪で牛や豚の臓物を転がして舌鼓を打つ。「おいしくてヘルシー」と、“美意識の高い女性”がホルモン屋に通うというのだ。今流行の「ホルモンヌ」である。一体何が起きているのか?

「ホルモンヌ」とはなにか?

 「捨てる物(放るもん)」とも揶揄(やゆ)されたホルモン。牛や豚の臓物料理は、安くて酒によく合うB級グルメの代表格だ。もつ焼きやもつ鍋を出すホルモン屋は、“通のオヤジ”の溜まり場で、オヤジの心の琴線に触れる赤提灯がその印。オヤジでなければ入りづらい、“オヤジの聖地”といわれてきた。

 ──が、それも今は昔。今や若い女性がホルモン屋に列をなし、汗と熱気で顔をテカらせながら、もうもうと煙を上げる七輪で牛の腸やら胃袋、豚の子宮やらを転がし舌鼓を打つ。「おいしくてヘルシー」と、“美意識の高い女性”がホルモン屋に通うというのだ。今流行の「ホルモンヌ」である。

 ホルモンヌとは、ライター佐藤和歌子さんが雑誌「モーニング」(講談社)に連載(2007年1月18日号~2008年1月10日号に掲載。のちに単行本化)したホルモン店探訪記『悶々ホルモン』から生まれた造語である。無類のホルモン好きで、もともとの意味は「一人でホルモンを食べに行く」お一人さまを指すらしい。

 七輪で一人ホルモン……ですか。

 ホルモンヌに会ってみたい。どの店を訪ねればいいのか。例えば東京で「ホルモン激戦区」といわれる池袋西口の飲屋街には、チェーン店を展開する「情熱ホルモン」などが乱立する。店内をのぞくと、おお、いるいる。確かに若い女性同士や男女混成グループがキャンプ場のように盛り上がっている。が、お一人さまはいない。こういうにぎやかな居酒屋の雰囲気の店に一人は居づらい。

池袋西口にある「情熱ホルモン」の看板(画像クリックで拡大)

 それにもう少し、“元来オトコの牙城”っぽいニオイがほしい。といって、ハードルが高すぎるのもだめだ。脂でぺとぺとしたテーブルに赤黒い顔のオヤジを満載したホルモン屋には、大方の女性は入らない。

 そこでB級グルメ本とネットで情報を集め、狙いをつけたのが、東京の下町・亀戸を本拠とする「亀戸ホルモン」が、2007年8月にオープンした恵比寿店。亀戸ホルモン……、って地名と普通名詞をくっつけただけなのにオヤジの磁場みたいな店名じゃないですか。地元でおじさん御用達の店として儲けて(たぶん)、今度はオシャレな飲食店が女のコに人気の恵比寿エリアに進出した2号店、となれば、これはまさに女性客狙いではないのか?(と読んでみました)

 そんなわけで、10月初めの平日、まずは本店の雰囲気も見るために亀戸へ行ってみることに(筆者、初上陸)。駅周辺はホルモン屋と焼き肉屋がやたらと多い。

「亀戸ホルモン本店」(2001年オープン)、開店前の準備中。夜には路上に行列ができる(画像クリックで拡大)

 ちなみにB級グルメ情報によると、地元で「亀戸ホルモン」と双璧をなすのがこちらの「ホルモン青木」。「内臓専門」の大提灯に目が留まる。こういう店にも女性は入るんだろうか?

立て看板(画像クリックで拡大)

「ホルモン青木2号店」(2007年6月オープン)(画像クリックで拡大)

「内臓専門」の大提灯が目立つ!(画像クリックで拡大)