麻倉怜士(あさくら・れいじ) デジタル・メディア評論家、日本画質学会副会長、津田塾大学講師(音楽)

 iPodやウォークマンといった携帯音楽プレーヤーが普及し、より良い音を追求するユーザーの中では高級イヤホン・ヘッドホンが浸透してきている。数千円程度の商品が並ぶ中で、3万~4万円といった高級モデルが売れ筋ランキングの上位に食い込んできているほどだ。

 津田塾大学で音楽の講師も務めているデジタル・メディア評論家の麻倉怜士氏は、「携帯音楽プレーヤーでも、いいヘッドホンを使えばかなりの音が出る」と断言する。その麻倉氏がお薦めする実売価格15万円前後の“超高級ヘッドホン”、独ULTRASONE(ウルトラゾーン)の「edition8」は、果たしてどのような音を奏でるのであろうか。

 それに加えて、iPodを高音質で聴くためのヘッドホン選びのコツ、麻倉氏直伝のお薦めiTunes設定、リッピング方法についても紹介しよう。

プロ向けだが、“常に最高の音質で聴きたい”というユーザーにもお薦め

 ULTRASONEの「edition8」は、音響エンジニアやDJなどが使うプロ用のモニタリングヘッドホンで、同社のフラッグシップ製品です。街中で音楽を聴いている人の多くはインナーイヤー型やカナル型ヘッドホンを使っていますが、オープン型や密閉型のヘッドホンも結構、見かけますね。“国民総ヘッドホン”みたいな時代になっているので、「ヘッドホンでも最高の音を聴きたい」という層も確実に存在します。そんな人もターゲットになるのがこの製品です。

タイムロード社が2009年5月に発売した独ULTRASONEの高級ヘッドホン「edition8」。価格はオープンで、実売価格は15万円前後(画像クリックで拡大)

 このヘッドホンが素晴らしいと思うのは、ヘッドホンとは思えない音の切れ味や音の情報量、音の深み、音の骨格感を持っていることです。

 手もとにあった国内有名メーカーの最高級モデルと比べてみました。国内メーカーの製品も低音がたっぷりと出て安定感があります。が、切れ味や解像感、音の情報量、音の細かいところのニュアンスがedition8とは違いますね。雰囲気で言うと、30cmほどの口径があって大きなエンクロージャーに収まった伝統的なスピーカーで、あまり細かい音は出ないけど余裕感があるという感じです。低域の安定感で言うと、地面がそれほど固くなくてふわっとした柔らかさがある。これはこれで、こんな軟らかい音が好きな人はいるでしょう。

 それに対してedition8は、とてもしっかりとした剛性感のある地面に、音楽がしっかりと足を突っ張って立っている強靭(きょうじん)感があります。そういった安定感や骨格感に加えて、中域の情報量の多さ、クオリティーのすがすがしさも持っています。