イー・モバイルやUQコミュニケーションズなどデータ系の通信サービスを中心に、MVNO(仮想移動体通信事業者)でサービスを展開するという動きが広がっている。だがそのサービス内容を見ると内容に大きな差がないように感じられるものが多い。現在の“横並び”態勢から、MVNOの傾向から脱却するには何が求められているだろうか。

家電量販店がMVNOに参入するという新しい動き

 2009年7月1日、モバイルWiMAX事業の「UQ WiMAX」を展開するUQコミュニケーションズが本サービスを開始した。これにより店頭でWiMAXの販売が開始され、東名阪とエリアは限られるが、サービスの利用が可能になった。

 実際、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、ヤマダ電機といった都内の大手家電量販店に足を運んでみると、モバイルWiMAXをアピールする看板やのぼりを見ることができたほか、契約用のカウンターなども用意されていた。だが、従来の通信系サービスと大きく異なるのは、積極的にアピールされているのがUQ WiMAXではなく、「家電量販店自身などが提供するサービスである」ということだ。

 これらの家電量販店は、UQコミュニケーションズのMVNOとして、モバイルWiMAXの回線を借りる形でサービスを展開している。ビックカメラは「BIC WiMAX」、ヤマダ電機は「YAMADA Air Mobile WiMAX」、ヨドバシカメラはトリプレットゲートの「ワイヤレスゲートWi-Fi+WiMAX」を、それぞれの店舗で独自に提供している。

 MVNOによるデータ通信サービスは、これまでもウィルコムやイー・モバイルなどの回線を中心に、多くの企業が提供している。だが家電量販店がMVNOとして参入するというケースはモバイルWiMAXが初であり、これまでにない大きな動きとなっている。

 これには、イー・モバイルの参入以降、データ通信関連の競争がかなり激しくなっているという背景もあるだろう。UQ WiMAXはサービスを開始したばかりであり、CM展開はしているもののエリアも限定されているため、知名度はまだ高くない。それゆえ、強い販売力を持つ家電量販店がMVNOになってサービスを提供するということは大きなメリットになる。

 一方、家電量販店側としても、契約数が順調に増えれば月額課金による収入が入ることとなり、「販売して終わり」ではない新たな収益手段が確立できるというメリットがある。

家電量販店が提供しているモバイルWiMAXのパンフレット。いずれもUQコミュニケーションズのMVNOとしてサービスを提供している(画像クリックで拡大)