“文具王”の異名を持ち、文具メーカーでユニークな商品を生み出し続ける高畑正幸氏が、最新文具の奥深〜い世界をナビゲートする。

 前回は「Vaimo11」の針について書いたが、今回は本体のほうに注目してみたい。サクリフラットを針のぶんだけ少し大きくすればよいか?といえば、そうではないらしい。本体にもかなりの改良が見られる。40枚とじと、いうのは簡単だが、それが容易でないことがこの構造から見えてくる。

【ポイント1】針の両肩だけを押す針押し板

 結局のところ、ホチキスは極めると、いかに正確に針を射出するかというところが全てと言っても過言ではない。特に重要なのは、針に対していかに正確に、まっすぐ力を伝えるかだ。これがほんの少しでもブレると、針がグニャッと曲がって貫通できない。特に、今回の針は、10号と同じ太さの針金。それで突き通す紙の枚数を2倍にするのだ。本体の動作に要求される精度は段違いに高い。

 写真を見ていただきたい。Vaimo11の針押し板には、左右に犬歯のような突起があるのがお分かりだろうか。実はこの板、水平部分のほとんどは針に当たっていない。針を左右の2点だけで押しているのだ。

Vaimo11の針押し板には左右に犬歯のような突起がある(画像クリックで拡大)

 力学的に考えると、針を押し出す際、水平部分を押す必要はない。重要なのは垂直の足の部分だ。にもかかわらず、通常の針押しだと、針のRでできた隙間のせいで、実際は、針押しの板は針の垂直部の真上には当たっていない。当然、まっすぐ打ち出すには不利だ。

 ではVaimo11はどうか。針押しの左右が飛び出している。拡大してよく見ると、この形状は、針のカドRにキッチリ合わせてあるのだ。Vaimo11の場合、押すのは針の両肩のみ。押し出すべき足の部分の真後ろだけに力がかかる構造になっているのだ。

針押しの左右の突起は針のカドRにキッチリ合わせてあり、足の部分の真後ろだけに力がかかる構造に(画像クリックで拡大)