今回、取り上げるのは『ワンステップ!』(TBS系列・日曜夜23時30分)である。

 ある技術や意志を持った若者たちが、彼らの力を必要とする場所へと赴き、できる範囲で、あくまで無償で働く、“ボランティア番組”である。

 先日の放送では、もう何十年も大工不在の島に、大工のタマゴたちが赴き、家屋の修繕などを行っていた。

 ぱっと見はドキュメンタリー番組のようだが、実際は違う。「若者たちが赴く」という導入部には、テレビの力が働いているからだ。

 だからといって、一時期流行った『進め!電波少年』に代表されるような「ドキュメント・バラエティ」とは、その手ざわりというか、読後感というか、そういった印象はかなり異なる。

 なぜだろうか。

 思うに、スポットの当て方が違うのだ。

 従来のドキュメント・バラエティの場合、主役はあくまで“がんばる人”である。つまり、猿岩石やドロンズであった。もちろん、『ワンステップ!』でも、その地に赴いた若者たちにスポットは当たっているが、それと同じぐらい、彼らの赴いた土地やそこに暮す人々にスポットが当たっているように思える。

 番組の公式ホームページを見る限り、企画段階で制作者が伝えたかったのは、社会貢献をする若者たちの姿だったのだろう。だが、それ以上に、彼らの赴いた先の「現実」、つまり日本の田舎の「現実」がひしひしと伝わってくる。

 通常のドキュメンタリー番組であっても、同じ「現実」を伝えることはできる。しかし、それをどれだけの人がテレビで見るだろうか。少なくとも僕は見ない。

 だが、『ワンステップ!』という番組になったとき、伝わってくるものは同じでありながら、見ようという気分になる。

 その一番の理由は、そこに「物語性」があるからだ。しかし、それだけではない。赴いた先の「現実」を目の当たりにした若者たちの素直な驚きが、あるいは、彼らの力によってほんの少しだけ救われた人々のリアルな笑顔が、その地がさらされている厳しい「現実」を、より鮮明に伝えてくれる。

 ありのままの姿を見せるだけが「現実」を伝える術ではない。そこに適度な、仕掛けを施すことによって、「現実」をより心に届くよう伝えることができる。『ワンステップ!』という番組から学べるのは、この点だろう。

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著者

山名宏和(やまな ひろかず)

放送作家。古舘プロジェクト所属。1967年生まれ。現在、『ザ!鉄腕!DASH!!』『行列のできる法律相談所』『ダウンタウンDX』、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』『全国一斉! 日本人テスト』など、 十数本もの番組の構成を手がける。著書『大人の宿題』(サンマーク出版刊)、『だから直接聞いてみた』(宝島社刊)が好評発売中。『毎日新聞』『サイゾー』でも連載を担当。