数多くのバラエティ番組を手がけてきた放送作家の山名氏が、話題の番組を題材にアイデアの発想方法を紹介する。

 今回、取り上げるのは『学べる!!ニュースショー!』(テレビ朝日系・火曜夜7時)である。

 日々取り上げられるニュースの中から、我々の生活に役立つ知識をピックアップするこの番組。「ニュース」というオーソドックスな素材を、視点の違いで新企画に仕立てた、まさに企画術のお手本のような番組である。

 たとえば、氾濫した河川に水没したバスからの脱出劇、というニュースがあったとする。

 この手のニュースそのものは、「九死に一生」的な番組でよく取り上げられてきた。そんな番組の中でも、生死を分けたポイントなどは描かれていただろう。だが、それは脱出劇という物語のクライマックスとして機能しており、見ている者はそれが「有益な知識」であるとはなかなか思わないだろう。

 しかし『学べる!!ニュースショー』の場合、事件事故そのものは知識を抽出するための素材にすぎない。大事なのは、そこから導き出されるノウハウ。同じ事件事故を扱っても、今までの「九死に一生」番組とは、焦点が異なる。だから、今まで何度か取り上げられた事件事故でも、再び扱うことが可能となるのだ。

 もちろん、この番組で紹介されるノウハウは絶対的なものであるとは限らない。1回の事例が同種の事件事故に常に応用できるとは限らない。それでも、どこから導き出されたかわからない机上の知識よりも、実体験から語られるノウハウのほうが重く響く。

 ただ、少し残念なことに、最近のオンエアを見ると、ニュースから具体的なノウハウを抽出する、という初期のパターンは減りつつあるようだ。ニュースから始まるということに変わりないが、「大量リストラ」というニュースから、「もしあなたのご主人がリストラされたら?」というシミュレーションを通してノウハウを伝える企画や、ほかにも昭和のニュースを振り返るといった別企画が増えてきている。

 番組は生き物だ。だから、変わっていくのは当然だし、新たにスタートした企画も興味深い。だが、個人的には、当初の番組の核であった事件事故から具体的なノウハウを抽出するというあの企画を定期的に見せてほしい。

 指南役氏の「『考え方』の考え方」からの引用になるが、CIAの情報源の95%は新聞であるという。誰もが目にしているニュースでも、見方次第では、そこからとんでもない情報を導くことができるということだろう。

 CIAと比べるのもなんだが、『学べる!!ニュースショー』から本当に学ぶべきは、誰もが目にした既存の情報からも、見方次第で新たな知識、つまりアイデアのきっかけを入手することができる、というその考え方なのだ。

著者

山名宏和(やまな ひろかず)

放送作家。古舘プロジェクト所属。1967年生まれ。現在、『ザ!鉄腕!DASH!!』『行列のできる法律相談所』『ダウンタウンDX』、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』『全国一斉! 日本人テスト』など、 十数本もの番組の構成を手がける。著書『大人の宿題』(サンマーク出版刊)、『だから直接聞いてみた』(宝島社刊)が好評発売中。『毎日新聞』『サイゾー』でも連載を担当。