年1万km走行でインサイトとプリウスの価格差を埋めるには80年以上かかる!

シビックハイブリッドの反省を生かし、インサイトは専用デザインのボディーを与えられた(画像クリックで拡大)

 燃費性能の差については、プリウスの方が理想的なハイブリッド・システムを採用している分、燃費性能が良い。しかし、クルマの生涯走行距離を考慮に入れて新型インサイトと現行プリウスとの燃費性能差と価格差を比較すると、燃費の良さで価格差を補うことはできない。

 実用燃費に近いJC08モードでは、現行プリウスは27~29.6km/L、新型インサイトは24~26km/L。最も燃費が良いグレード同士で比較すると、新型インサイトは189万円、現行プリウスが231万1000円で価格差が44万1000円、燃費の差は3.6km/Lである。

 乗用車の平均走行距離が年間1万km弱だから、走行距離を年間1万kmと想定した場合、現行プリウスは337.8L、新型インサイトは384.6Lのガソリン消費となり、その差は46.8L。ガソリン価格を110円/Lとすると、年間5148円の差で、価格差を燃費差で補おうとすれば、85.7年もかかることになる。

 このように、トータルの経済性では大幅に新型インサイトに軍配が上がる。従って、新型インサイトのハイブリッド・マーケットにおけるポテンシャルは、現行プリウスを上回るはずだ。

 月間販売予定台数の5000台は、十分に達成可能な数値で、発売当初はそれを大幅に上回る販売台数となるだろう。実際に発売前の事前予約で、すでに5000台を上回っているという。

 新型インサイトの登場で、ハイブリッド・マーケットは2倍以上に拡大するはずだ。2009年5月発売の3代目プリウスの価格次第では、新型インサイトがハイブリッド・マーケットの主役に、一気に躍り出るのは間違いない。

2009年5月発売予定の3代目プリウス。エンジンは現行の1.5Lから1.8Lになるため、価格は上がりそうだ(画像クリックで拡大)

著者

須藤 將(すとう すすむ)

早稲田大学理工学部卒業、1967年4月東洋工業(現マツダ)入社。RX-7(約10年)、ルーチェ、コスモのプロダクトプランナーとして新型車の開発に従事。通産省プロジェクト「コンピュータコントロールドビークルシステム」及び建設省プロジェクト「デュアルモードバスシステム」に参画。広報、海外宣伝を担当(主幹)。マツダ退社後、有限会社パラガン設立。自動車誌ではモーターファン・イラストレーテッドに執筆。