正月は米国ドラマ「ドクター・ハウス」2シーズン分、DVD12枚を見て過ごした。

 これまでお気に入りの米国ドラマは「ザ・ホワイトハウス」「ヒーローズ」「セックス・アンド・ザ・シティ」あたりだ。

 米国ドラマは、まず無名俳優の顔をしげしげと眺めるところから始まる。格段の美男美女でなくても、個性とキャラで段々と親近感が湧き、知らぬ間に応援してしまう……のだ。

 日本の連続ドラマは役者の層が薄いのか、制作に勇気がないのか、スポンサーが腰砕けなのか、総勢30人くらいの役者の使い回しに終始している。

 知ってる顔ばかりが、交代で局を巡回し、差別化がはかれない。顔で役回りも想像がつく。悪しきスターシステムだ。

 たとえば一例だが、最近だと評判のいい小日向文世は(彼に罪はないのだが)あちこちで出ずっぱりである。

 スターシステムをとるハリウッド映画が一時期ダメで、米国TVドラマが好調だった理由も、無名俳優起用にあるはずだ。

 無名俳優たちは身にしみて知っている。「人生はワン・チャンス」だと……。だから必死だ。

 日本もそうあってほしい。


(文/エンターテインメント評論家 麻生 香太郎)

【初出】日本経済新聞、2009年1月17日夕刊
※「テレビの壺」は麻生香太郎氏が日本経済新聞、土曜日の夕刊に連載中のコラムです。日本経済新聞に掲載後、麻生氏および日本経済新聞社に許可を得て転載しております。

著者

麻生香太郎(あそう こうたろう)

大阪市生まれ。東京大学文学部卒。在学中に歌謡曲の作詞家として活動を開始。森進一、野口五郎、小柳ルミ子、小林幸子、TM NETWORKらに作品を提供した。その後、80年代半ばにエンタテインメントジャーナリストへと転身。以来、20年以上にわたって業界をウォッチし続ける。現在は「日経エンタテインメント!」「テレビ・ステーション」などで連載コラムを執筆中。著書に『ジャパニーズ・エンタテインメント・リポート』(ダイヤモンド社)など。