in-i
共同演出・出演:ジュリエット・ビノシュ/アクラム・カーン
ビジュアル・デザイン:アニッシュ・カプーア
音楽:フィリップ・シェパード
公演スケジュール:2009年3月9日(月)〜15日(日)※12日は休演
劇場:Bunkamuraシアターコクーン
料金:S 1万2000円 A 9000円 B 6000円
※B席の販売はBunkamuraチケットセンターのみ(画像クリックで拡大)

 恋愛映画と名のつくものは世に星の数ほど存在する。けれど本当 の意味での恋愛の映画。つまりロマンスとはこうあればいいなこうあってほしいな、という霞(かすみ)の世界の夢想を甘っちょろく描くものではなく。化学汚染にまみれた現実の空気のなかでぜえぜえあえぎながらも、醜くも壮絶なリアル愛の姿をさらけ出す映画は実はとても少ない。たいがいのヒット作品は「ロマンティック・ラブは売れるから」という理由で、市販の商品のように味気のないアイ・ラブ・ユーを連呼する紋切型の恋愛観を押しつけてきたりする。

 だがそんななか「彼女の出演作を見れば、偽造でない愛が見られる」という、いわば恋愛具眼の持ち主として評価の高い女優がいる。彼女の名はジュリエット・ビノシュ。自身、レオス・カラックス、オリヴィエ・マルティネス、ブノワ・マジメルなどとの荒波の恋愛遍歴を辿ってきた恋多きフレンチ女優だ。ここで彼女の映画出演作をあげてみるなら──たとえば身体的衝動を発火点に雷火のように一途に燃える『ポンヌフの恋人』のミシェル、あるいは心の奥で隠約する狂愛の種火に静かに身を捧ぐ『存在の耐えられない軽さ』のテレザ、また哀しみに摩耗された不感症の焼野原でもたくましく愛を信じようとする『イングリッシュ・ペイシェント』のハナなど。彼女の演じる役柄はいつでも、優等生に計算された頭の良いピ カピカの恋愛ではなく、がつがつ醜く体当たりして身体で実地に学 んでいく、生々しい愛を観客に見せつけてくる。