本気で地上デジタル放送を推進するなら新しい地デジ内蔵テレビなどは消費税をゼロにするくらいでなければ……と思うのだが、世の中はそんなことはお構いなしに、3年先の「地デジ元年」に消費税増税と活字は踊る。

 かつて日本には摩訶(まか)不思議な物品税なるものが消費税誕生まで存在した。贅沢(ぜいたく)品には重く課税する、というもの。宝石、毛皮、電化製品、乗用車などが該当品目。私が作詞家だったころレコードに物品税がかかっていて面食らったものだ。レコードは贅沢品だった……のである。

 金融不安・格差社会を問題にするなら、一度消費税を凍結し超富裕層向けに物品税を復活させたらどうか(名称は福祉還元税かセレブ税がいい)。

 1500万円の車を買う超富裕層は20%のセレブ税がついた1800万円でも、きっと購入する。300万円はステイタス勲章代だからだ。

 100万円の家賃を払える人は120万になっても経費で落とせるだろうし、500万円の腕時計を買う人は20%税込み600万円でも買う……と確信する。

 数10万円のオーダースーツを着る麻生首相は2割増しでも着続けることだろう。

 これから始まる本格不況時代には庶民のために消費税を0%にし、セレブ税でカバーしてほしい。とりあえず2―3年の時限立法でいい。生活必需品や地デジ家電製品などを免税にして消費を喚起すべきでは?


(文/エンターテインメント評論家 麻生 香太郎)

【初出】日本経済新聞、2008年12月27日夕刊
※「テレビの壺」は麻生香太郎氏が日本経済新聞、土曜日の夕刊に連載中のコラムです。日本経済新聞に掲載後、麻生氏および日本経済新聞社に許可を得て転載しております。

著者

麻生香太郎(あそう こうたろう)

大阪市生まれ。東京大学文学部卒。在学中に歌謡曲の作詞家として活動を開始。森進一、野口五郎、小柳ルミ子、小林幸子、TM NETWORKらに作品を提供した。その後、80年代半ばにエンタテインメントジャーナリストへと転身。以来、20年以上にわたって業界をウォッチし続ける。現在は「日経エンタテインメント!」「テレビ・ステーション」などで連載コラムを執筆中。著書に『ジャパニーズ・エンタテインメント・リポート』(ダイヤモンド社)など。