今春投入した携帯音楽プレーヤー「D-snap SV-SD870N」(画像クリックで拡大)

 パナソニックは、携帯音楽プレーヤー「D-snap」事業からの撤退・縮小を本格的に検討し始めたもようだ。同社の複数の幹部が認めた。既に次期製品の開発を休止したとの話もあり、今年春に投入した「SV-SD870N」が、最後のD-snapになる可能性がある。

 携帯音楽プレーヤーは、米アップルの「iPod」が先行し、ソニーの「ウォークマン」が追う構図が続いている。量販店店頭では6割強をiPod、3割弱をウォークマンが占め、2社の寡占化が進んでいるとの調査結果もある。東芝、アイリバー、クリエイティブメディアは1桁台のシェアで推移しているにすぎない。パナソニックのD-snapはそれを下回る実績。市場シェアは1%台だった。

 パナソニック以外にも、携帯オーディオ事業からの撤退・縮小を検討しているメーカーがあると話す関係者もいる。2強の寡占化はさらに進む可能性がある。

 D-snapは、浜崎あゆみさんを起用し「騒音キラー」のメッセージのテレビCMが印象深い。音楽を聞く環境に配慮した工夫が特徴だった。周囲の騒音を約83%カットするノイズキャンセル機能や高音まで再現する「広帯域リ・マスター機能」を搭載しているほか、付属のインナーイヤホンも密閉性が高かった。SDメモリーカードにアルバム単位で曲を収録して管理できる利便性や100時間という圧倒的な駆動時間も魅力のひとつだった。

 SDステレオシステムである「D-dock」とドッキングさせるとCDの音源を高速に録音できる。音楽の再生を途中でやめても、前回の続きから聴ける「続き再生」機能もある。PCを利用しなくても、音楽データを管理できるのも“ウリ”だった。

 だが、そのセールスポイントが、時代にそぐわなかったとも言える。簡単にPCにつながり、ネットから音楽を手軽に購入して楽しめるiPod。消費者はパソコンにつながる携帯音楽プレーヤーを受け入れた。総合力で、アップルに後れをとったのは誰の目にも明らかだ。

 あるパナソニック幹部は「薄型テレビのVIERAを中心としたAVCネットワーク社の商品では、他の製品とつながらない商品は扱わないぐらいの気持ちで考えている」と語る。D-snapは、“つながらない商品”の筆頭ともいえる存在だった。

D-snapのテレビCMには浜崎あゆみさんを起用。発表会にも登場していた(画像クリックで拡大)