プロとアマの差はどこにあるのだろう。写真の腕前であれば、プロをしのぐアマチュアもたくさんいる。撮影をして、お金をもらっているかどうかの違いであって、クライアントとちゃんとコミュニケーションができれば、明日からプロを名乗っても文句は来ない。意外なことに、こうなったのは最近だ。独断と偏見を交えて言わせてもらえば、機材の差が一番大きかったように思う。話は十数年前にさかのぼる。ライトウエアのバッグにハッセルブラッドのボディー2台とレンズが3本並び、アシスタントがフイルムをマガジンに詰めて師匠に渡す。クライアントはブローニーフイルムを大量消費するカメラマンの姿に、安心感を覚える。同時に、自分もプロの仕事現場にいることを再確認する。といった具合だ。

ピクチャーモードを「肌色がきれい」に設定。カメラ任せだが、確かにピンクがかった記憶色に近い仕上がりとなった(画像クリックで拡大)

子どものように石にのぼってもらい1カット。石の質感がうまく描写できている(画像クリックで拡大)

 大御所と言っても間違いのない知人のカメラマンが、タレント撮影の現場で取り出したのはキヤノンのEOS 40Dだった。筆者の驚いた顔に気付くと、「結構よく写るよ。1000万画素以上あるしね」と照れくさそうに笑う。そこで周囲のプロカメラマンに片っ端から、メーンで使っているカメラは何かを聞いてみた。驚くことに、フラッグシップ機を使っているカメラマンは少数派だった。キヤノンならEOS-1Ds MarkIII、ニコンならD3などの最上位機種は、持っていても使っていない。しかも、「EOS 5D MarkIIを購入するのをやめて、EOS 50Dにする」と宣言する若手も少なくない。ポスターならいざ知らず、雑誌の中面なら、EOS 50Dの描写力があれば耐えられる。ネットの掲示板で、細かい描写力の違いを議論しているケースが散見されるが、印刷の段階で差はつかなくなってしまう。

 再び十数年前、カメラ評論で知られる田中長徳さんが筆者の耳元で、「クライアントが立ち会わなければ、コンパクトカメラで仕事することも珍しくない」と秘密を打ち明けてくれたことがあった。「まさか」と思った筆者にはない先見性を、田中さんは当時から持っていたわけだ。ヘビーデューティーな機材の呪縛から離れて、ひたすら撮影する行為に専念することが、本来プロに求められる資質だろう。

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