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 今回メタル斬りするのは、福山雅治と柴咲コウの「KOH+」のほか、「絢香×コブクロ」「SoulJa×Mislim」のコラボ3組。福山のプロデュース術や、絢香とコブクロのハモリの秘密に迫ります。

 また、現在発売中の「日経エンタテインメント!」12月号(表紙・堀北真希)では「福山雅治」「ASIAN KUNG-FU GENERATION」「中島美嘉」を分析しています。こちらもどうぞ

 柴咲コウさんは、アメリカ人の僕からすると、すごく不思議な存在です。

 何がそんなに不思議かっていうと、まず彼女は女優が本業で、そっちの世界で大成功してるのに、音楽活動もコンスタントに続けてるってこと。しかも、柴咲コウとしての活動だけじゃなくて、RUI名義とか、福山雅治さんをプロデューサーに迎えたKOH+名義でも曲を出してる。違う名前でやる以上は区別しないと意味がないけど、彼女はそのたびに全く違うイメージに変身しちゃうじゃん。日本の音楽シーンでは、そうやって1人のアーティストがいろんな形態で全く違うタイプの曲を出しても、ファンは自然に受け入れてくれるんだよね。アメリカ出身の僕からすると、本当に不思議で、うらやましい環境だよ。

KOH+
『最愛』
映画『容疑者Xの献身』主題歌。「曲全体としては、あえてスカスカのアレンジにしてあるから、自分の感情で曲に入っていくことができる。映画の感動的な場面で流れたら、すごく効果的だと思うよ」。

 KOH+の前回のシングル『KISSして』も大好きな曲だったけど、新曲の『最愛』を聴いたら、ますます驚かされました。だって、『KISSして』とはまた全然イメージの違う曲だし、声すら似てないほど。だから、さらに別のアーティスト名で出すのもありなくらいじゃん! 「KOH-」とか「KOH++」って改名してもらったほうが、ファンにとっては混乱しなくていいかもしれません(笑)。

 ソロでの柴咲さんのバラードは“うまい系”の印象があるけど、この曲のボーカルは、いい意味で“ヘタウマ系”です。曲全体のアレンジも超シンプルだから、彼女の“裸”の声がすごく近い距離で歌ってくれてるみたいで、これまでとはまた違うイメージの彼女に出会えた気がしました。

 音楽的に面白いのは、1サビ目の後にいきなり意味の分からないプログレっぽいフレーズが出てきたり、Dメロの真ん中でレッド・ツェッペリンを思い出させるドラムのキメが出てくることです。すごく突然だから、普通に考えると「どうしてここで?」って感じなんだけど、全体のアレンジがシンプルなぶん、その部分がうまくフックとして機能してるんだよね。福山さんの“さりげない”プロデュース術にも注目しながら、じっくり聴き込んでほしい一曲です。