1984年のロサンゼルス五輪でシンクロナイズドスイミングが正式種目となってから、7大会目を迎える北京五輪。日本のシンクロは、世界の3強として、すべての五輪でメダルを取り続けている。「水」を舞台に繰り広げられる、美しくも過酷な競技だ。その鍛えられた筋肉美、身も心も一つになるチームプレイに多くのファンの目はもう釘付けになる。では、演技で果たすメイクの役割とは? 第1回の五輪参加から日本シンクロを育成、指導する日本水泳連盟理事・シンクロ委員長の金子正子さんに話を伺った。
“水とコラボする美しさ”によって人魚にも悪魔にも見える……
そもそもシンクロが新体操と違うのは、演技がフロア上でなく、「水」を媒体にすること。「ウォーターバレエ」と呼ばれた水中ショー的なものが競技化されたという経緯をもつ、本来、水の中の競技だ。競泳でなく、バレエ的な要素がありながら、水のしぶきを常にまとう。一体、“顔の表情”を見せるのに、水はじゃまではないのだろうか?
「水とコラボする美しさ」がシンクロの真骨頂という金子委員長は、「水がなければ“素のままの自分”が見えますが、水を媒体にすることによって、曲想のニュアンスに合わせ、やさしくも力強くも、人魚のようにも悪魔のようにも見えるんです」――シンクロの表現の豊かさをこう指摘する。
シンクロは、「芸術スポーツ」と呼ばれる競技の一つ。手足の動きには、運動能力を競う運動ばかりでなく、音楽と一体となった、しなやかで情感豊かな表現力が求められる。例えば、体全部が水中に沈み「手だけが水面上に残る」演技で、“無自覚な手が残る”のと、“指1本1本がものをいう”のでは印象が全く変わる。
背中を見せて演技するときにも、そのギュッと引き締まった筋肉の動きと美しさが見どころになる。北京五輪に向けては、「今までになかったモダンダンスの動きを取り入れ、芸術性を高めている」とのことで、日本代表チームは、ダンス指導者から「背中に顔がついてない!」と叱咤されるほど厳しい訓練を重ねているそうだ。
そして、演技の印象度を上げる表現の中でも、重要なポイントが「目と口元」なのだという。顔の表情づくりだ。











